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●「耐火服」
「燃えない服? ええ、もちろんご用意できますとも。防ぐのは普通の火ですか? それとも、ドラゴンの吐く炎? ふぅむ、お客様の場合は後者ですかな? では、お値段は金が二枚と銀が五枚……おや、服と一緒にお金を燃やしてしまった? ほほ、ではお客様はまず、中身が溶けたり、燃えたりしない袋を手に入れるべきでしょうな」
――服屋の店主
布である以上、燃えてしまうのは避けられない。
しかし、素材を工夫すればある程度は対処ができる。
たとえば、エルフの衣服に使われている繊維は素材こそ不明だが、普通の火くらいならば投げ込んでも燃えることはない。
もちろん、魔法やドラゴンの炎に対して有効な布も存在するが、そうしたものは例外なく高価である。
そして、いちばん重要なことを忘れてはいけない。
服は覆った部分を守ってくれるが、晒した素肌に届く炎を防いではくれないのだ。
「服がない分、私のほうが身軽だったわね」
「その格好で市場を!? あの……次からは、燃えない服を着たほうがいいと思うよ」
「……お金が溶けなきゃ、とっくにしてるわ」
――首長の宝物を抱えて逃走する『オアシス団団長』シエスタと、それを追う『炎の魔法使い』フェルト。砂漠の都にて。




