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「火柱の魔法」
稀有なゴブリン、コガラーは恐怖した。
ごうごうと燃える炎は、夜の暗さを払い、家を焼くだけではないのだと。
そして、自身の生まれにも感謝した。
少なくとも自分は、他のゴブリンと違って、あの柱に突っ込もうとは思えないだけの知恵があった。
――ゴブリンの変異種、コガラー
火の魔法は、魔法学院では軽視されがちな魔法の一つだ。
新入生はまず火付けの魔法を習い、それから火の玉を飛ばすことを覚える。
そうした経験から、どうしても学院出身の生徒は火の魔法を初心者用だと誤解してしまう。
だが、実際に強力な火の魔法を見れば、それが間違いであることを理解することだろう。
火柱の魔法は、任意の場所に燃え盛る火の柱を出現させる。
これで、接近戦の苦手な魔法使いは自身の身を守り、あるいは相手の足元に出して不意打ちに使うこともできるだろう。
使い手が強力であればそれだけ火力も上がり、そうした火柱は、触れただけで骨まで燃え尽きてしまう。




