「醜い死霊・前編」
「生きていた頃も、僕は醜く汚いって嫌われてた。そして今は、幽霊が怖いってみんなに嫌われてる。人から嫌われるのには、慣れてるんだ」
「ふぅん? それでも貴方は人が恋しいってわけ? なら、私に一つ乗りなさい幽霊さん。絶対儲かる話があるの。一緒に億万長者になりましょう?」
――醜い死霊と降霊術の魔法使い
辺境の村、ワイソロー。
森と石に囲まれた暗く陰気なこの場所で、とある事件が起こった。
それは深夜、日を跨いだ頃の話。
犬がやたらと吠えるので外に出た住人が、あるものを目撃した。
村の中を、すすり泣く足のない人影が徘徊していたのだ。
おそらくは死霊なのだろうが、村には教会どころか魔法使いすらいない。
対処もできず、危険かどうかもわからないため村長は深夜の外出を禁止し、ひとまず様子を見ることとなった。
それからというもの、毎日決まった時間に死霊は現れ、ときおり呼びかけるように叫んだり、泣いたりを繰り返した。
恐怖と騒音で眠れないと困っていた住人だが、そんな時ふらりと、ある魔法使いの少女が村を訪れる。
少女は自らを降霊術の使い手と名乗り、実際その背後には、古風な衣装に身を包んだ老人の霊を連れていた。
そこで村の住人は、彼女に死霊の問題を解決してほしいと頼み込んだ。
小さな村ゆえに少額だが、住人全員で出せる分だけ集めた報酬を、しかし少女は受け取らず、無償での協力を約束する。
調査の結果、死霊はかつてこの村の住人だった男で、森から生じた大きな力の影響により、長き眠りから魂だけが目覚めてしまったことがわかった。
彼は生前から孤独であり、人のぬくもりを望み求めたが、叶わず死んでしまったようだ。
その心残りと、謎の強大な力が彼を死霊として蘇らせ、夜ごと徘徊しては一人寂しさに泣いていたのだ。
そこで、魔法使いの少女は考えた。
彼の孤独を癒やし、ついでに儲けられるとっておきの策を。




