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「バチコーン」
「バチコーンが後ろでうろつき始めたら、注意するんだぞ。角で尻をひっぱたかれるからな」
――子連れの牧場主
バチコーンはユニコーンと同じ、馬型の怪物だ。
ただしユニコーンほどの希少性はなく、たまに牧場の馬に紛れていたりと、性格も人に慣れやすく好奇心が強い。
バチコーンという名は、角の先端が丸みを帯びた形状で、それが太鼓のバチに似ているのが由来とされている。
怪物としては比較的温厚ではあるが、だからといって油断して背中を見せると、首を振って角で叩いてくる。
叩く箇所は決まって尻で、この行動は人間にしか行わない。
しかしこれは怒っているわけではなく、尻を見たら無性に叩きたくなる習性のようだ。
首を振った時、人間の尻が一番いい位置にあるのだろう。
牧場で子供に手伝いをさせる時は、気をつけよう。
まず、見知らぬ馬がいないか確認し、子供には角の生えた馬がいても背中を向けるなと教えること。
もし、どこかで乾いた破裂音が響いたら、それは誰かが尻を叩かれたということだ。




