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「濃霧の妖精」

「ノームの妖精がいるって聞いてきたのに、なんだいこれは? 霧が濃くて何も見えないぞ」

 ――好奇心旺盛な冒険家



 それまで見晴らしがよかった場所で突然、深い霧に覆われたとしたら、それは『霧の妖精』の仕業だろう。

 彼らは人や獣を霧で惑わし、迷子になったところを見て面白がる。

 とはいえ、せいぜい人をからかうくらいで、怪我をさせることは滅多にない。


 だが、気をつけてほしい。

 紛らわしい名前だが、『濃霧の妖精』はとても危険な怪物だ。


 彼らは、手を伸ばした先すら見えないほどの濃霧で獲物を包み、いたぶり殺す。

 戸惑う獲物を少しずつ切り刻んで、もがく姿を見て楽しむのだ。

 

 右も左もわからない状態で責められるという森人の慣用句、『霧に襲われる』はこれが由来だとされている。

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