「氷塊弾」
「さあゴブリンくん、肩車してあげるからどんどんやっちゃいなさい! 魔法はパワーよ、パワー!」
――オアシス団のパワー担当、三角帽の魔法使い
小さな子供ほどの大きさの氷塊を、杖の先から何度も撃ち出す魔法。
着弾した氷は、砕いて破片による攻撃に転じることも、固めて足場や壁にすることもできる。
魔法学院で教えるものに改良を加えた、オアシス団の魔法使い独自の技。
これは一度起動すると、杖が術者の手を離れても氷は射出され続ける。
そのため、杖を固定し砲台として使うことも、誰かに持たせて援護してもらうことも可能だ。
数年前、魔法使いは学院卒業の証として大きな三角帽子を授かり、旅に出た。
しかし、とある白マフラーの少女と一緒に挑んだ初めての実戦で、彼女は手痛い失敗をしてしまう。
学院はゴブリンを、低俗で弱く、魔法使いの相手に値しないと切り捨て、まともな対処法を教えなかった。
だが実際の彼らは狡猾ですばしっこく、また洞窟内での戦闘は学院の広場と勝手も違い、ろくに狙いを付ける間もなく、翻弄された挙げ句に足を刺されてしまったのだ。
それから、魔法使いは考えた。
机上でものを考えるだけの教授たちや、魔法使いの目線でしか教えない学院の授業では、何もかも足りないと。
そして、魔法使いは閃いた。自分だけの魔法論を。
すなわち、魔法とはパワーである。
強固な盾を持つ相手は、盾で防げぬ重さの氷塊をぶつけて叩き潰す。
高速で動く相手は、避けられないほど広範囲に氷柱を降らせ、どこに逃げようと当たるようにすればいい。
どんな相手も、力でねじ伏せれば関係ない。それこそが、魔法使いが導き出した解だった。
数年ぶりに再会した人物の三角帽にしがみつきながら、コガラーは困惑していた。
魔法とは、浮かぶ火の玉や竜の姿をした水がたくさん出てくるものだと思っていたから。
でも、掲げた杖から沢山の氷の塊が飛び出す光景は、とても綺麗で楽しかった。
――パワー系氷魔法を放つゴブリン、コガラー




