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「勇者の剣」
「勇者の剣」
少年が拾った、豪奢な装飾の施された銀の剣。切っ先が折れている。
暗い水底でなお輝く刃に力を感じ、少年は身に余る長剣を手に取った。
だがそれは騎士が見栄えだけのために作らせた失敗作であり、高価な素材は、しかし実用に耐えうる強度もなく持ち主とともに川底へと沈んだ。
この剣には、神秘の力がある。そう信じ、少年は己の成長を待ち望んだ。いつかこれを振るい、村を襲う怪物から皆を救うのだと。そう、固く決意して。
物にどれほどの価値を見出すかは、持ち主次第だ。
それに秘められた真実が、どのようなものであったとしても。