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第3話 ドーバの苦手な幼馴染




 ある程度は村が復興したところで、僕は改めて村人全員を前にする。

 今度は外ではなく、一番大きな家の中だ。この家は騎士たちの襲撃前までは村長が使っていて、今はもう死んでしまったからという理由で僕にプレゼントしてくれたのだ。

 僕の家。昨日まで高校生だったのに一軒家を持ってしまった。


「で、僕の庇護下に入りたいというのはどういうことですか?」


 改めて問いただすと、集まっている中で一番若く、ガタイの良い筋肉質な男が前に出た。


「みんなの代表として、俺が話します。俺はそこのドーバの父で、狩人をしているアバーダという者です」


 予め代表を決めておいてくれるようお願いしていたのだ。その結果、ドーバの父、アバーダが選出されたようで、自己紹介から始まった。

 ドーバはなぜか僕の隣に座っており、向かいに座っている父とアイコンタクトのようなものをしていた。


「この国の皇帝は、クソです。俺たちは若い女を毎年献上するように言い付けられて、今年は断ったんです。これ以上は村が滅ぶから、と。そうしたら奴ら、騎士を寄越して村を滅ぼすと言ったんですよ!? 皇帝への反逆罪だって! 俺たちは戦いました。でも、結果は見ての通りです。俺たちじゃ、所詮辺境に来るような騎士にさえ勝てない」


 悔しそうに拳を握り、アバーダは僕をまっすぐに見た。それはまるで、ドーバの強い意思を感じさせる瞳に似ている。……いや、違うな。ドーバがアバーダに似たのだ。


「それで、僕はどうしたらいいんですか?」


「ムラサキ様の庇護下に、俺たちをどうか! どうか入れてください! もうこの国は嫌なんです!」


 この国、名前知らないんだけど。

 国とか皇帝とか……もうちょっと名前出してほしいな、なんて……。


「それって、僕にメリットありますか?」


 ただで守ってもらおうとするのは、強欲に過ぎる。とはいえ、どのみちオッケー出すんだけど。だって、秩序をもたらすのが僕の役目だから。

 僕の言葉を聞いて、ここにいる村人10人ほどがたじろいだ。僕にメリットがあるとすれば、ごはんが出るとか、村人を好きにできるとかだろうか。それも今は全然できない。ごはんも、倉が焼かれたようでまったくあてにできないのだ。

 季節は夏。畑も荒らされているし、備蓄もないし、もはやどうしようもないのだ。


「メリットは……その、ドーバを好きにしてくださって構いませんので……」


 咄嗟に思いついたのか、アバーダはそう言ってドーバに視線を向けた。

 ドーバが驚いたようにアバーダと僕を交互に見て慌てる。


「……はぁ。少し、いじわるをしました。ではドーバを、僕の……家族とします。あと、僕は家事ができないので、もう一人付けてください。それで、僕はこの村を守って見せます」


 ドーバはこの村で、一番仲が深い。それに、養子のように僕の家族となれば、ほかの人も僕たちと接しやすいのではないかと考えてのことだ。

 そして残念なことに、僕に家事スキルは皆無だ。地球でもすべて母親任せの甘ちゃんだった。料理も掃除も何もできないから、その家事スキルを持つ人を連れてきてもらいたい。


「ふぇ!?」


 ドーバが驚いたように真っ赤な顔をする。僕はそれに首をかしげながらも、アバーダに回答を催促した。


「は、はい。わかりました。では、マーティを寄越します。あとでまた来させます! それで、その、庇護下に入れてくださりますか……?」


 僕の表情を伺いながら、そぅっと聞いてくるところ、僕のことを恐れているのだろう。


「なら、それで大丈夫です。よろしくお願いしますね」


「はい! それから……我々には敬語は不要ですので、今後ともよろしくお願いします」


 話はまとまったとばかりに、大人たちが全員出て行った。

 敬語じゃなくていいのか。でも、年上だしな……。

 迷いながらも、敬語を使うとかえって距離を感じるのかもしれないと思い至る。


「本人がいいって言ってるんだし、いいか」


「姉ちゃん……? か、家族って、その、つまり、俺と……」


「ん? ああ、ドーバはこれから僕の家族だ! この村を守れるように、これから鍛えるからな!」


 僕の家族になるというのは、つまりこの村を庇護するということだ。そして、ゲームシステムの庇護下に入るということでもある。僕がやっていたゲームには、ファミリアというシステムがあり、ファミリアに入れば様々な特典を得られる。

 このファミリアのシステムが使えることは、もうすでに確認済みなのだ。そして、クランシステムも使えることがわかっている。

 この村をクランに丸ごと組み込めば、この村の様々な問題を一気に解決できるかもしれない。

 だけど、ドーバは予想が外れたのか項垂れてしまった。何か、言い方がまずかったのかもしれない。


「そうだ。さっき言ってたマーティって知ってる?」


「知ってます。俺の幼馴染で、めちゃくちゃうざいやつです」


 苦虫を噛み潰したような顔をして、ドーバが言った。

 誰しも嫌いな人や苦手な人はいるものだ。ドーバが嫌いな子ということで、少しだけ興味が湧いてきた。どんな子なのだろう。



「ムラサキ様の家ってここですかー?」


 不意に外から若い女の子の声が聞こえた。それに合わせて、ドーバがびくぅっと体を震わせた。


「この子がマーティ?」


「そ、そうです。俺、一回家に帰って荷物持ってきます!」


「あー、そうだね。気を付けてね」


 裏口から出ていくドーバを見送り、僕はマーティを迎えに行く。

 玄関で待っていたのは、ツインテールの金髪でチュニックにロングスカートを身に着けた女の子だった。みた感じ中学1年生くらいで、髪色もこの村全員と同じ金髪だ。


「いらっしゃい。今日からよろしくね」


「あ、あなたがムラサキ様……? 凄い! かわいい! お世話は任せて下さい!」


「え? あ、うん。……お願い」


 一瞬悪寒がした。

 マーティが僕を見る目は、とても危うい物な気がする。だけど、もう後には引けないのだ。おとなしく腹を括ろう。

 僕はひとまず、ファミリアにドーバとマーティを入れた。一番危険なのはドーバだけど、次に危険なのは僕の身の回りの世話をするマーティかもしれない。マーティにも訓練を積んでもらう。


 とはいえ。


 この子、めちゃくちゃ巨乳だ。Hカップくらいあるのか。Iカップあるのかもしれない。この爆乳娘はいったい何カップなんだろう……。





ブクマ、評価ともにありがとうございます!


今日、夜中にもしかしたら更新するかも……?()

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[一言] ブックマーク登録させていただきました。 今後も更新頑張って下さい。
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