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3.ロバート王子の決意 その2

◇◇◇



 ――果たして、一度や二度ならば目を瞑れたかもしれない。


 しかしこんなことが何度も続けば、偶然の一言で済まされない。


 然るに、エリーゼは自分の伴侶としての王子に、理想像がある。

 その理想像通りの人物にボクを仕立て上げるため、ずっと裏であれこれと画策してきた。


 ボクが彼女に対して不服を唱えたとき、表向きには、彼女はそれを了承する。それはきっと、王たるものに反抗するのは、王妃にとって相応しい態度ではないと、彼女自身が思っているからだ。


 だが主張を飲み込むばかりが彼女ではない。否、エリーゼは、自分の意思を通すためならどんな手段にも手を染める――染めてきた。


 ……もう隠し立てはすまい。


 ボクは彼女を愛していない。否、目の前にいるこの毒婦、魔女、女妖術使い、悪役令嬢を、誰が愛すことができようか!


 たしかに見た目は麗しい。淑女としての嗜みも申し分ない。国の未来を思うなら、彼女と結婚しない手はない。

 いや、むしろ彼女と結婚しないことで生じるデメリットを思えば、ボクの方から頭を下げ、足に縋りつき、是が非でも結婚を乞うべきだろう。それだけの相手だ。


 だがだが、ボクにはムリだ!! 彼女の仕業を疑っているうちはまだよかった。そうでないことを信じることができた。笑顔の意味を信じることができた。


 その分、確証を得てから、すべてが裏返った。まるで聖女のような彼女の笑顔を見ていると、最近では虫唾を越えて蕁麻疹が走るようになってしまったのだ。


 もうボクの心身は限界だった。だからこそ――今日、この場で彼女の罪を告発し、断罪し、そして突き付けるしかない。



 ――そうとも! こんな婚約など無効! 婚約破棄だ!!



 この定められし婚約を破棄するため、そして自身の自由を取り戻すため、ボクはずっとこの学園で足掻いてきたのだ。


 血の滲むような努力の成果を、今日ここで、絶対に証明してみせる――!

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