1.ロバート王子の決意
『その鳥籠は、生まれたときからずっと、そこにあって』
『雛鳥は、柵越しに見る外の景色と空の青に、ずっと憧れていて』
『そして、ついにそれを手にすることなく、ここまで育ってしまった』
『だから、今度こそ絶対に手に入れてやるんだ――自由を!』
◇◇◇
まるで光輝かんばかりに飾り立てられたパーティ会場。
そこには既に、この学園に通う多くの貴族子女がつめかけていた。
煌々と室内を照らす大きなシャンデリア。
豪奢な食事に酒類が並ぶいくつもの円テーブル。
その周りに集う、とびきり煌びやかに着飾った学生たちの姿。
それらはまるで、さながら学園から羽ばたいたあとにボクらを待ち受ける世界――社交界のミニチュアのように、ボクの目には映った。
そしてボクはといえば、そんな彼らの姿を、一段上に用意された舞台から眺めている。その権利が、ボクにはあった。
そう、なんと言っても今日はボクこと、このエイゼンブルグ王国第一王太子、ロバート・エイゼンブルグの誕生会なのだ。どこぞの弱小貴族の誕生会などとワケが違う。学園生徒全員参加は、半ば義務だった。
やがてゆっくりと会場の照明が落ちてゆき、私語も減って場が静まると、ボクは主役としての自らの役割を果たすべく、壇上から口を開いた。
「今宵、ここにお集まりの皆さんに、まずは謝辞を述べたく思う。ボクこと、ロバート・エイゼンブルグの誕生会にお集まりいただき、本当にありがとう。常日頃より、皆さんにはこの学園をより良い学び舎にするため尽力してもらっているが、今宵だけは羽目を外して、飲んで、騒いで、楽しんでいただきたい。そして、パーティのあとに予定している、ボクからの重大発表にも是非耳を傾けていただきたい。前置きが長くなったが、それでは……乾杯!」
ボクがグラスを掲げると、ワッと大きな声がして、生徒たちも同じように一斉に杯を掲げた。
そんな彼らに入り混じり、ボクから見て最前列の円テーブルにはあの女――エリーゼ・ムーンリバーの姿もしっかりとあった。




