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第1話 鉄砲玉、異世界へ

ほぼ評価されなかった本作を、大幅に加筆修正したので、ご覧いただけるとありがたいです。


雨の降りしきる夜、35歳の藤沢 博志と17歳のヤスは殺された。


◇◇◇


二人が殺される一年前――


 藤沢、職業ヤクザ。

 ヤクザの世界に身を置いているが、性格の優しさと運の悪さから出世とは無縁の男。

 そもそも、ヤクザになろうと思ってこの世界に入った訳ではない。

 運が悪く、人生が悪い方へ悪い方へと向かって行き、ヤクザにまで身を落としたのだ。

 藤沢の主な仕事は、雑用の類い。

 年齢を重ねるうちに、ヤクザから足を洗って真っ当な人生を歩みたいと思う事が多くなっていた、そんなある日……


「おい、藤澤。 今日からコイツに色々教えてやれ。

 名前は…… おい、なんだっけ?」

 年下の兄貴分が、金髪の髪にだらしのない恰好をしたヤスという青年を藤沢の前に連れてきて言った。

「ちす、ヤスっす」

 ヤスと名乗った青年が髪の毛を弄りながら藤沢に挨拶する。

「なんだ、お前、ちゃんと挨拶くらいしろ!

 藤沢、ちゃんと礼儀とか教えとけよ」

「あ…… はい」

 掃除の最中だった藤沢は、年下の兄貴分に返事をしたが、無視して兄貴分は歩いて行ってしまった。

 仕事が出来ない男のレッテルを貼られている藤沢だが、事務所勤続年数だけはベテラン。

 その為、このヤスという青年の教育係として指導するように言われたのだ。


「俺は、藤沢だ。

 そんじゃ、灰皿片付けるから手伝って」

「うぃーす」

 気怠い返事に少々イラっときた藤沢は、この先大変だぞと思うのだった。


◇◇◇


殺される、30分前――


 俺、藤沢 博志は、コンクリートの壁にもたれかかり呼吸を整えていた。

 鼓動が早い。

 ダメだ、落ち着け。

 深く息を吸い込み、深呼吸をした。

 そういや、あの時、教育係をしろ言われたあの時だ。

 ぶん殴られても断りゃ良かったか?

 いや、無理だな。

 上から言われりゃ、断れないのが縦社会って奴だ。

 しかし、苦労してイロイロ教えたのにヤスの奴、失敗ばかりだったな……

「ハハハ、こんな時に思い出すかね? ったく、ヤスの野郎」

「どうしたんです兄貴?」

 ヤスがキョトンとした顔で聞いてきた。

「いや、独り言だ、気にするな」

 ヤスが変な顔をしたが、少し落ち着く事が出来た。

 思えば、コイツも可愛いところがあったな。

 俺なんかを兄貴、兄貴と慕ってくれたんだから……

 楽しい事もあったよな?

 こんな時だってのに昔の事ばかり思い返しちまう。

 ヤス……

 お前は、組に入ってから色々やらかしてくれたよな。

 ホントに色々と……


 俺は、懐のドスを握りしめる。


 街に冷たい雨が降りだし始めていた。


◇◇◇


殺される数日前――


 俺とヤスは何時ものように、組事務所で雑用をしていた。


「兄貴、砂糖ないすか?」

 ジャージ姿で金髪ツンツン頭のヤスが、キッチンでキョロキョロしながら俺に聞いてきた。

 組長へのコーヒーをヤスに用意させようと思ったのだが、コイツ。

「バカ! お前な、砂糖は切らすなって、この前教えたろ?」

 怒ったのに、ヤスの奴、そうでしたっけ? とかぬかしやがった!

 パチンとヤスの頭を叩いた俺は焦った。

 なにせ、組長は大の甘党。

 コーヒーに砂糖が欠かせないからだ。

 ココアでも飲めば良いのにと思うのだが、組長はコーヒー好きだからな。

「組長に、砂糖切らしてましたなんて言った日にゃ……」

 以前、甘くないコーヒーを出して、ゴルフクラブでぶん殴られた事を思い出して顔が青くなった。

 買ってくるか?

 ダメだ!

 組長は、待つのが嫌いだ!

「ヒィッ!」

 ゴルフクラブが頭をよぎる。

 どうする?

 どうする、どうする、どうする、どうする、どうする、どうする?!


 はっ!


「そうだ!」


「ヤス! 組長の部屋に行ってこい、砂糖があるから」

 組長が部屋で角砂糖を舐めているのを思い出した!

 チンパンジー並みに角砂糖が好きだからな、組長は。

「わかりやした」

 元気に返事したヤスは、走って行った。

「よし! それじゃ、俺は、組長の様子を見てこよう」

 キッチンを出た俺は、事務所を覗きこむ。


 奥の応接セットのソファーに組長と若頭が座っている。

 何か話をしているようだが……

「うわぁぁ、見るからに機嫌が悪そうだ」

 どうしよう。

 兎に角、コーヒーを出すのが遅れたら、もっと機嫌が悪くなるだろう。

「頼むぞ、ヤス~」


組長の部屋――


 部屋に忍び込んだヤスは小瓶を見つけた。

「これか?」

 見ると、中に角砂糖が一つだけ入っていた。

「無いよりマシだろう」

 ヤスは、それを取ってポケットにしまった。

 そして辺りをキョロキョロと見渡した。

「一つじゃ足りないよな? ジジィ、砂糖をどこに隠し持ってんだ?」

 手あたり次第に戸棚や机を調べたが、出てこない。

 焦るヤス。

「ん?」

 机の下に置いてあるアタッシュケースを見つけ、開けてみると中に小袋に入った白い粉を見つけた。

「ジジィ、どんだけ砂糖が好きなんだよ!

 こんなに小分けして……

 外出先でも砂糖舐めれるように? チンパンジーかよ」

 ヤスは、小袋を一掴みしてポケットにねじ込むと、急いでキッチンに戻る為に走った。


「あれ? 兄貴いねーや。

 何してんだろ、チンパンジーがコーヒー待ってるのに!

 まったく困ったもんだよ! いっか、俺が適当に淹れてやろう」

 組長のコーヒーカップにその辺にあった、インスタントコーヒーを雑にいれて、お湯を注ぐヤス。

「甘くなーれ!」

 ポケットから角砂糖を取り出してコーヒーに入れた。

 スプーンでかき混ぜ完成。

「兄貴がチンパンジーは、甘いの好きって言ってたけど、加減が解らないから自分で入れさせよう。

 それくらい出来るだろう?」

 砂糖入れに持ってきた小袋の中身をヤスは、一生懸命に移した。


 俺は、組長の監視を続けていた。


「おい、コーヒーまだかよ!」

 組長の怒声。

 ヤバイ、もう限界だ!

 俺は急いでキッチンに戻る事にした。


「あっ! 何処に行ってたんですか兄貴!」

 キッチンに戻ると、ヤスが戻っていた。

 しかもコーヒーを入れ終わっているじゃない!

「でかした! ナイスだ、ヤス!」

 だが、組長のコーヒーカップがビショビショになっている。

 どんだけ不器用なんだよ、コイツ!

「ヤス、カップ拭け! ビショビショだと怒られる! ゴルフクラブで殴られたくない!」

「ゴルフクラブって?」

「いいから、早くしろよ、お前!」

 ヤスが、バケツにかかっていた雑巾を手にしてカップの水気を拭きとった。

「……おまっ、いや」

 時間が無いからな。

 うん。

 俺は、見なかった事にした。


 急いで、お盆にコーヒーカップと砂糖入れを乗せて運び出す。

「あれ?! 砂糖あったんじゃねーか!」

「兄貴、チンパンジーが待ってるから急ぎましょう!」

「そうだな!」

 俺達は、チンパンジー、いや、組長が待つとこへコーヒーをこぼさないように急いだ。


 応接セットのとこに着いたら、若頭がいなくなってた。

 どうやら席をはずしているようだ。

 慌てたから組長の分のコーヒーしか持ってきてなかったので、正直、助かったと思った。


「遅くなり、申し訳ございません!」

 俺はコーヒーと砂糖入れを組長の前に置くと、組長にギロリと睨まれた。


「おせーぞ! ボケが」

 コーヒーカップに手を伸ばす組長に言われたが、ゴルフクラブで殴られるよかマシだ。


「!」

 組長の表情が変わる。

 ヤバい、ヤスの野郎が雑巾で拭いたから臭かったのか?!

 冷たい汗が背中を伝っていく。


「オメーが淹れたのか?」

「教育の為、今日は、ヤスにさせました」

 声が震えそうになったが、俺は、組長に答えた。

 終わった。

 ヤスの失敗は、教育係の俺の責任になる。

 殴られるのを覚悟したのだが…… 次の瞬間、組長は、ヤスをみて笑った。


「若いのに、やるじゃねーか。

 ……豆を、変えたのか?」

 俺は、尋常じゃない汗が出た。


(バカ、組長用の高級豆の方を使わなかったのか?!)

 小声でヤスに言った!

(なんすか? 高級豆って?)

 ヤスが俺に小声で答えると、ピンと姿勢を正した。

「自分なりに考えてみました」

 何も考えていないヤスが組長に答えている。

 絶対ばれるよ。

 俺の気も知らずに、初めて組長に話しかけられたヤスは、緊張しているようだった。


「久々に、旨いコーヒーだったぜ」

 組長がニヤリと笑い、そして言ったのを聞いた俺は、高い金を出して高級豆を買わなくてもいいんじゃないか? と思った。

「だがな…… 甘くねぇ!」

 不敵に笑う組長。

 見本を見せてやると言わんばかりに砂糖入れの蓋を開けて、コーヒーカップに一杯、二杯と入れていく。

 どんだけ入れるんだ、コイツ……


「フフフ、覚えとけよ。

 コーヒーは、甘くなくちゃいけねぇ!」

 ヤスに教えた組長が、コーヒーを口にした。

 なんでコーヒーが甘く無くちゃいけないのか分からないけど、なんでも良いよ、アンタが満足なら。

 そう思ったが顔に出さないようにした。

 ん? どうした?

 組長が、首をかしげている。


「あれ? 甘くなんねーぞ」

 そう言って、砂糖をどんどん追加しては、飲んでいく。


「あ、兄貴……」

 ヤスが言ったが、だな。

 様子がおかしい。

 なんか、だんだん組長の目がトロンとしてきているような……

「あ、まく、な、らないろ?」

 呂律も怪しくなってきた。

 涎が駄々漏れ。

 普通じゃない。


「さろう、が、たりらいのか、ウヒ、ウヒヒ」

 組長が壊れた。


 俺とヤスは、明らかに様子がおかしい組長を前にして、どうしたら良いかわからなかった。

 その時である。

 戻ってきた若頭が、おかしい組長を見て、転がっている砂糖入れを手に取った。

 そして、砂糖入れに指を入れて、指先に着いた砂糖を舌先にのせた。


「……こ、これって」

 若頭が驚いている。

「あ、あのどうしました?」

 心配して聞いたのに、俺達は、若頭に睨まれた。

 そして、次の瞬間、死ぬほど殴られたのだった。


 そして、後から聞かされた話だが、砂糖入れに入っていたのは砂糖では無く、捕まる方の白い粉だったそうだ。


◇◇◇


殺される10分前――


「兄貴、どうです?」

「まだだ」

 俺とヤスは建物の影から、そこのビルの入口の様子を伺っていた。

 敵対する組織の組長が出てきたら殺すように命令されてるからな。

 所謂、鉄砲玉って奴だ。


 まっ、最後ぐらい組に貢献して死ねって言う事らしい。

 フフフ……

「納得いかないよ! 部屋にあんなもん置いとく方が悪いだろ!」

 思わず、口にしていた。

 薬なんか取り扱ってるなんて、そんな腐った組に入っていたなんて……

 ツイていない俺らしいや。

 でも、コレが成功したら、幹部に慣れるって……


 ビルの前には、黒塗りの高級車が停車している。

 黒服の男が数名その車の前に立っている。

 自分のとこの組長を待っているのだろう。

 ターゲットが、このビルのクラブに入ってから結構時間がたった、そろそろか?

 腐った組だが、受けた恩くらい返さないとな。


 しかし、雨が降ってて寒い。

 大事な時に失敗しないように、俺は手を懐に入れ冷えないようにした。

「ヤス、寒くないか?」

「……」

 返事がないな。

「ヤス?」

 俺が振り返ると、ヤスが、立ちションしてた。

「バカ、早くしろ!」

 俺は、小声で言った。

 リラックスしてるのか?


「兄貴、すいやせん」

 用足しが済んだヤスが戻ってきた。

「ドスを用意しとけ」

 俺は、ビルの入り口をみながら言った。

「へい、兄貴ちゃーんと、ここに、ここ、あれ?」

 俺は、今から死ぬのか? いや、サクッと殺って、そのまま警察に自首するんだ。

 こんなトコで死んでられっかよ。

「あ、兄貴……」

 ビルからターゲットが出てくるのが見えた!

「行くぞ!」

 俺は、ジャケットにドスを隠してターゲットの元に駆け出した。


「なんだ、てめぇ! 止まりやがれ!」

 黒服の奴等が行く手を阻もうと俺に向かってきた!

 怖い!

 死にたくない!

 ターゲットは、すぐそこ!

「殺って逃げる!

 死ねぇぇええええ!!」

 俺は、ドスを抱えるように構えて突っ込んだ!


ガッ!


「え?」

 横から現れた黒服に俺はタックルされた。


「何処の組のモンだ、てめぇ!」

 ターゲットの叫ぶ声が聞こえる。

 俺の刃は、届かなかった……


 だが!


「馬鹿野郎! 想定の範囲内! 行けぇぇえ、ヤス!」

 俺の後ろをぴったりついて走っていたヤスが、俺と、黒服の上を回転して飛び越えて行く!


 ヤスは、バカだが、アホみたいに身体能力が高い!


 着地してそのまま、ターゲットにヤスが突っ込む!

「俺達の勝ちだ! いけぇ、ヤスーー!」

 俺は叫ぶ。

 そして、ヤスは手にしたテレビのリモコンで、ターゲットを始末し


「リモコン!」


 なんで?


「死ねぇえええ!」

 ヤスがリモコンで敵対組織の組長を思い切りぶん殴った!

 衝撃でリモコンがぶっ壊れたみたい。

 ターゲットが頭を押さえて倒れこむのが見えた。

 

 事務所のテレビ前のテーブルに並んで置かれたドスとリモコン。

 ヤスの奴、間違えてリモコンを腹巻きに入れちゃったんだな。


パン! パン! パン!


「やめてくれぇーー!!」

 叫ぶ俺の目の前で、ヤスが撃たれハチの巣にされた。


ドスッ! ドスッ! ドスッ! ドスッ!


「ぐはぁっ!」

 俺の口から血が出た。

 ははは、リモコンでも、結構効いてるみたいじゃないか。

 ……でも、やっぱ殺せなかったみたいだ。

 ターゲットが頭を押さえてじたばたしてる。


 俺は、身体中を刺されながらその様子をみていた。

 ヤスは、動かない。

 今、病院、連れてってやるからな、ヤス。

 だけど、俺の…… 意識も……



 こうして俺とヤスは、死んだ。



◇◇◇◇



 真っ暗だ。


 俺は、落ちている?

 死後の世界って奴に向かっているのだろうか?

 生憎、死んだ事が無いので解らない。



「…にき……」


 声?


「兄貴、お……」


 ヤス?


「兄貴、起きるっす!」


 ヤスなのか?!


「がはっ!」

 目を見開き俺は気がついた!

 倒れている。


 アスファルト…… じゃない?

 土と草の臭い。


 体を起こすと、周りは、木々が生い茂っていた。


「兄貴、ここどこっすか?」

 ヤスが、頭を掻きながら、聞いてきた。

「ヤス……」

 お前、頭、撃たれて…… 生きていたのかよ?


 俺は、涙が出た。


「兄貴、どっか痛いんすか?」

 ヤスが、俺を心配して言ってくれるが、嬉しいんだよ、俺は!

 ありがとう、生きていてくれて。

「ん? なに?」

 ヤスが何かを俺に差し出してくれた。

 何かフルーツのような物だ。

 優しいやつなんだよ、こいつは。

「ありがとな、ヤスゥ」

 涙を拭いて俺は、そいつに齧りついた。


カプ


「甘いなぁ」

 俺は、一口食べて言った。


「これ、どこかに生ってたのか?」

 ヤスに聞くと、指を差した。

「ん? 向こうか?」

 その指の先をみると、赤や黄色の斑模様をした毒々しいデカイキノコみたいのがあった。

 そして、俺が手にしてるくらいの大きさの分、千切った跡が残っている。

 俺は、手にしていた、それをポトリと落とした。


「おい! あんな毒々しいもん食って大丈夫なのかよ?!」

「いや、俺、食べて無いから、わかんないっす」

「ふざけんじゃねーよ!」

 俺は、喉に手を突っ込んで、さっき口にしたそれを吐いた。


「大丈夫っすか?」

 ゲーゲー、言ってる俺に、ヤスが聞いてきたが、喧嘩うってんのか、お前!


 すっかり吐き終わった俺。

 大丈夫かな、体。

 凄く、不安!


 辺りを見渡してみたが、ホントに、どこだここ?


「兄貴ー! あっちで、襲われてるよ!」

 ヤスの声が聞こえた。

 見ると向こうの方にヤスがいた。

「てか、なんで一人でどこでも行くの? アイツ」

 ヤスが走りだした。

「いや、待ってよ!」

 一人は心細い!


 俺は、ヤスを追いかけた。

 向こうの方に走ったよな?



「何してんだ?」

 向こうの方にヤスを見つけたが、誰かと揉めているようだ。

 現状が解らないのに、揉め事はヤメテ! と思いながらヤスに近づいていく。


「えっ!?」

 なんだ? アレ?

 コスプレ外国人と、緑色した…… ゴブリン?

「? ? ?」

 どっちもコスプレって奴だよな?

 兎に角急ごう!


「何でコイツをイジメるっすか!」

 到着すると、ヤスが外国人に食って掛かってた。


「なぜ止める! コイツは、ゴフリンだぞ!」

 外国人が答えたけど、日本語上手いね。

 あれか、アニメ好きで日本語覚えて、来日したとかのパターン?


「ヤスーー、そういう設定で遊んでるんだから、邪魔してやるなよ」

 ヤスに注意した。

 堅気と喧嘩するもんじゃない。

 しかし、レベル高いコスプレだこと。

 俺は、ゴフリンのマスクを抓った。


 あれ?


「おい…… ヤス。 こっ、コイツ…… ん?」

 俺がヤスの方をみると、ヤスが外国人をのしていた。

 やっちゃった!

「ヤス、堅気に手ぇ出したらダメだ、つったろう!」

 俺は、ヤスの頭をこずいた。

 何回注意したら良いんだ! 全く。

 この前も高校生と喧嘩してたし、お前は!


「すいやせん、兄貴」

 ヤスが、やっちゃったみたいな顔をしている。

 絶対に反省していないと思う。


「あ、あの、助けていただいて、ありがとうございます」

 ゴブリンコスプレーヤーが、お礼を言ってきた。

 いや、コスプレじゃないよね?

 バカな俺でも、偽物か本物かくらい、触ったらら解りますよ!


 俺は、改めてゴブリンを見ると、ちっちゃなメスのゴブリンだった。


「いや、気にしないでいいよ」

 俺が言ったのに、無視してメスゴブリンがヤスに近づいていく。

 助けてもらって惚れたか?

 頬を赤く染めてるし。


「なんだ、お前。 緑色で、気持ちワリーな」

 メスゴブリンがヤスに気持ち悪いと言われて、固まってしまった。

 可哀想に。

 まあ、そんな事より、

「ここは、どこだ?」

 固まったままのメス ゴブリンに聞いた。、

 メスゴブリンが固まったままなので揺すってみると気がついたみたい。

「気がついて良かった。 で、ここどこ?」

「はぁ? ここは、森ですけど」

 だって。

 そりゃ、見りゃわかるよ。

 質問の意図が解らなかったのかな?


「兄貴、森を知らないっすか?」

 ヤスが俺に聞いてきた、この野郎。

「いや、森くらい知ってるよ! 何処の森か? って聞いてるんだよ」

「あ、そっか」

 ヤスが納得したみたいだけど、大丈夫かよ?


「…ゴ、ゴフリンの言葉が、わかるのか?」

 倒れていた、コスプレ外国人が何か驚いていったが、何を言ってるんだ?

「お前ら、日本語しゃべってんじゃねーか」

 外人に言うと、俺達は、その場から立ち去る事にした。


 俺達は森を歩いている。

 コスプレ外人の相手をしてても仕方ないし、設定にこだわりすぎてて、めんどくさい奴みたいだったので面倒な事になる前に逃げてきた。

 ついでに、メスゴブリンが助けてくれたお礼をしたいって言われたので向かっているのだ。


「おい、ゴブ、名前は?」

「名前、ないです」

 俺の問いにメスゴブリンが答えた。

「オメー、名前ないのか? じゃ、緑だから、ミドリな」

 ヤスが、安直な名前をつけやがった。

 だが、メスゴブリン改めミドリは喜んでいるようなので、何もいいますまい。


「いいか、このお方が、俺の兄貴分の藤沢さんだ!

 くれぐれも、失礼の無いように!」

 ヤスが、ミドリに俺を紹介してくれた。

「わかりました、ヤス兄貴」

 ミドリがヤスに答えてる。

 なんだか、素直で可愛いな。

 ヤスったら、あんなにゴブリンになつかれるなんてな。

 俺は、なんだか、ほっこりした。


「よし、お前を、藤沢組の構成員見習いにしてやる。俺のような立派な極道を目指すように!」

「ハイ!」

 ヤスに言われ、ゴブリンが元気に答えた。

 良かっ


ブフォ!


 俺は、吹き出した!

「ふ、藤沢組だって?!」

 ヤスが変な事を言い出した。

 チンピラだぞ、俺。

 この俺が、組長に?

 バカげてる。

 バカげてる?

 そうなのか?

 この世界で極道として、成り上がるのも有りなんじゃないか?!


「しっかし、ここ、どこなんすかねー?」

 ヤスが俺に聞いてきた。

 それな。

「ふふふ」

 まだ、気づかないの?


 仕方ねーな。

 ヤス、お前は、学が足りないからな!

 心配すんな、俺がちゃんと教えてやるからな!

 そう……

「ここは、異世界だぜ!」

 ミドリを見て疑念が確信に変わっている俺は断言した。

 地球じゃない、別の世界だよ、きっと!


「ほう、ここは、異世界って国なんですね?」

 うん。

 ヤスの理解がおかしい。

 まあな。 ヤスは、残念な子だから気にした方が敗けだ。


「おっと! 着いたんじゃないの?」

 そうこう言ってる内に俺達は、ミドリの所属するゴブリン集落に到着したようだ。


どうでしたか?

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作者の励みと、成長のため、どうか願います。

どこまで行けるか冒険の始まりです。

俺の成長は、読者の方々にかかっております。

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