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不良な幼馴染

不良の幼馴染は裏でケーキを食べています。

作者: 光好

LINEのグループで書いた、その場の感情と勢い感満載の小説ですが、個人的にこの二人が好きなので載せることにしました。

私の幼馴染の裏の顔を知る人は、実は意外に少ない。私以外には、私の母親と彼の母親くらいなものではなかろうか。

幼馴染をたっつんと呼んでいるが、たっつんは怖い顔をしている。コミュ障が高じてなぜだか不良としてしか人と関われない。

面白すぎる。

実のところたっつんは部屋にぬいぐるみを並べている超可愛い奴だ。幼い頃から大事にしていたせいで今更捨てられないのだとか。特に母親に買ってもらったやつは大事にしているようだ。

さてそんな彼の趣味というのが、これまたいじりがいがあり過ぎて困る。


「お菓子巡りが趣味とか、不良じゃないよなぁ」

「うるせぇ。黙って食え。イチゴ取るぞ」

「えっ!?やだやだやだ!」


慌ててイチゴを口に放り込む。

表向き、このお菓子屋巡りは“幼馴染におごらせるたっつん”ということになっている。だから私は同級生に同情されて、よく色んなものをおごってもらうが、その実友人とのただのティータイムなので心苦しいことこの上ない。しかもたっつんが「付き合ってもらってるから」とおごってくれているのでもう土下座したい。

以前にそう主張してみたら「そう言えって言われたんだろう!?かわいそうにっ」とガトーショコラを押し付けられた。皆のたっつんのイメージが垣間見えた気がした。


「相当、悪と思われてますねぇ、たつひろクン」

「……マジでそのシフォンケーキ俺食っちまうぞ」

「いいよ。どうせたっつんのお金だし。はいどーぞ」

「……やめろ、お前が食え」

「どっちだし!まあ、くれるってんなら食べますよー。どーもどーも」


たっつんは慣れるとそれはもう甘い。


「たっつんは飼い犬タイプだね」

パクッ

「あああっ!!私の生クリーム!!」


訂正。情け容赦のない猛犬です。

ご注意ください。


私が温かいミルクを飲みほして、お会計となった。たっつんはとっくにカフェオレを飲み終えている。


「さぁて、次はどこ?」

「次は」


床に置いていたカバンを持ち、立ち上がった。その瞬間私の鬱陶しい隣人はやってきた。


「たっつん…ごめ」


目蓋が勝手に閉じてブラックアウトした。倒れる時、額がテーブルにぶつかってカップや皿がけたたましく鳴った。たっつんが私を呼ぶ声を聞きながら、私は睡魔に負けた。


私は、いつでも、どこでも、何をしていても、発作がくると眠ってしまう。だからろくに遊びにも行けない。

その点、たっつんと行けば眠った私をおんぶできるので大丈夫という訳だ。


意識がはっきりと覚醒したのは一ヶ月後の昼だった。久しぶりに寝過ごして単位とか色々を考えるともう一度布団に潜ろうかとか考えてしまう。

起きてケータイを手にとったら、同級生から「たつひろに殴られたんだって!?大丈夫!?」という趣旨のLINEやらメールやらが大量に送られてきていて、つくづく彼の不運が笑える。

さしずめ、顔の左側を切って青タンを作った私を担ぐたっつんでも見かけた誰かが広めたのだろう。


ぼんやりしているとケータイが鳴った。


「もしもし」

『……出たっ』

「おー。おかーさん?」

『…起きてないな……はぁ』

「冗談です。たっつんでしょ?」

『ふざけんな馬鹿野郎!!どんだけ待ったと…っ…あ、いや』

「ほほうほう?それでそれで?」

『……ばあああああか!!』


電話がぶつっと切れた。

心配していてくれたのだろう。


「ちょっとふざけすぎたか」


今度フラペチーノでもおごってやろう。


と、思っていたら、お母さんから「抱きとめられなくて傷をつけてしまいました。ごめんなさい、だって。いい男よねぇ」と聞かされて、あいつ本当なんで不良とか思われてんだろうと考えつつ、茶化して本当に申し訳ないと泣きたくなった。


サンドウィッチもおごろうかなぁ。

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