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街かど宿屋のドラゴンさん  作者: 抹茶さめ
1話
16/93

14泊目

 

 同時刻アインス王国王城ー女王寝室



「は? お兄様があの人の所に行ったですって!?」

「はい、近衛兵を十数名連れて」


  目眩がした。ふと時計を見ると真夜中に差し掛かっていた。


「一番稼げる時間に行かなくても......」

「いかがいたしましょうか?」

「はぁ、何もしないわ。摘まみ出されるか良くて―――」

「死体ですか?」

「良くて死体ってどう言うこと?! あの人は挽き肉機じゃないわよ?!」

「腕の一本は失っていそうですな。ほっほっほ」

「クルスってお兄様が嫌いなの? ね、そうでしょう?」

「年端もいかない少女に王位を擦り付けて裏でこそこそしている王子は大好きでございます」

「はいはい、まー運良くて半殺しってところね......」

「ですなぁ」

「「......」」


  私達二人の間に沈黙が訪れた。


「一応、救護班を待機させておきます」

「そうね、そうしてちょうだい」

「では殿下、お休みなさいませ」

「はい、お休み」


  クルスは一礼すると部屋を出ていき、私はベッドに潜った。


「ペースト状のお兄様なんて見たくないなぁ......スミカ様、どうか御慈悲を」


  小さく祈りを捧げて私は眠りに落ちた。





  その頃、竜風亭―――


「ぬわぁあああああ! あ、頭が割れるううううう!!」

「「「お、王子いいいいいいい!!」」」


  何故かゲンシュ王子がまた顔面を捕まれていた。そしてそれを誰も止めない、いや止められないのか。


「(スミカ殿が王族でないと言うのは分かったが何故王子は叔母上と呼んでいるんだ?)」

「(それはのう、スミカがあの王子の教育係を一時期しておってな。母親とは違って叔母みたいな存在みたいじゃかららしい)」

「(成るほどな)」

「(いやいや、成るほどなじゃなくて止めましょうよアレ、王子の頭が弾けますよ?!)」


  ケインズが小声で指差している、だがあれを止められる猛者が居るのか? 魔族の少女を見ると全力で首を横に振っていた。すると気配もなく視界に白い髪が見えた。


「......私が止めてくる」


  サーシャが戦地に赴くような兵士の顔で言う、そこまでの覚悟がいるのか!?


「ほ、本気かサーシャ? 今止めに入ったらお主までヤられるぞ?」

「......ふん、弱虫サテラには無理」


  サーシャが鼻で笑うと魔族の少女、サテラの額に青筋が浮かんだ。


「なんじゃと!? よーし分かった! この妾が止めてやろうではないか! おーいスミカよー!」


  意気揚々とスミカ殿に近づくサテラを見ながらサーシャは黒い笑みを浮かべていたのは気づかなかったことにしておこう。


  二分後。


「も、もうお許しを叔母上ぇえええええ!」

「ぬわぁあああああああああ! 胴体と首がさよならしそうじゃぁあああああ! だ、誰か助けておくれぇええええ!」


  そこには顔面を捕まれて足を浮かした王子と魔族の少女サテラがいた、耳をすますとサテラを掴んでいる左手の方でミシミシと音が鳴っていた。


「叔母上ぇええええ!? 隣から少女の悲鳴とミシミシと言う音がぁああああ?!」

「おい、スミカよぉおおおお! 妾の方だけ力がつよ―――アイダダダダダダダダダ!!」

「......ふふふ、もう一段階上がった」

「今どのくらいなのだ?」

「......鉄の板が曲がるくらい」

「それに耐えるとは流石魔族だな」

「カルロスなら耐えられるんじゃねーか?」

「何も見えない! 私には何も見えない!」


  俺達は少し離れた席でダイメル達とサーシャが持ってきたエールを飲みながらその様子を眺めていた。正義感が強いケインズは手で顔を覆いながら机に突っ伏していた。


「......営業妨害でミンチ、隣の奴と合挽き肉になるの、どっちがいい?」

「どっちも嫌です! と言うか誰ですか今物騒なこと言った人は!」

「ま、前が見えん! その声はサーシャじゃな! おのれ図ったか! 妾が何をしたと言うのじゃ!」


ミシリとまた音が鳴りスミカ殿の手に力が―――


「「いぁあああああああああ! 出る! 何か出るぅうううう!(のじゃぁああああああああ)」」


それから数分後、二人は動かなくなった。




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