1、せめて家から出ないほうがいい人
俺ほど親の泣き顔を見た人間はいないとおもう。
なぜなら泣かせているのが俺だからだ。
「どうぎゅうぜいはもうはたらいているのに! なんで、なんでうちの子ははたらいとらんの……」
今から二九年ほど前に九州のド田舎からこの神奈川県に進学のためにやってきた母親。夢と希望に満ちた生活を夢見ていたことだろう。
俺の年齢は二十歳。もうはたらいてもいい年齢だろう。
ただ、断固拒否だ。
働けニート? いや、働いたら負けだ!
「お母さま泣かないで下さいよー。生きているだけで宝物の息子が下りてきました!」
「生まれ変わったら、せめてアルバイトをする子供がほしかった」
「来世にワンチャン」
ぎゃーぎゃーと騒ぎ出した親を置いてそとにでた。
言っておくが俺はニートであってひきもりじゃあない。
これだけは譲れないこれは俺の誇りだ!
「かきごうり……おいしい」
中学生ぐらいの子供だろうか? やけに目につくかわいらしさだ。
金髪碧眼。話しかけたらつかまりそうなほどおれにはに使わない少女だ。
公園のベンチでコンビニにあるかき氷をたべている少女をがんみする。
ただつかまるのはごめんなので一分ぐらいでやめておこう。
「ええと、あなたはだれですか?」
さして嫌悪感もなさそうに少女が俺に尋ねる。
――しまった!
少女があまりにかわいいので近づいてしまった。
俺が少女なら今すぐ通報するところだ。
「えっ……ええと、ニートなお兄さん……じゃなくて、ラーメン修行をしているお兄さんだよ。君の髪がラーメンに似ているのでついつい夢中になっちゃった」
とっさにでた嘘にしてはできているとは思うが、俺なら通報する。
「そうなんですか? お兄さんおもしろいですね」
――あっ、調子に乗っていいやつかもしれない。
「そうかな、てれるなあ」
「それじゃあ兄さんこの地域で一番おいしいラーメンを紹介してください」
「カップラーメン……じゃなくて、食べなれた味が一番だと思うよ」
うそは言っていない。
本当のことだ。
「お兄さん……ラーメンを作っているんですよね? せめて自分のおみせとか……」
「いいんだあよ世の中そんなものだよ。大人になればわかるよ」
「そうなんですか?」
俺は知らないけどな。なぜなら働いたことがないからだ。
「お兄さんお兄さん」
「なっ、なんですか?」
「なんでそんなに緊張しているんですかっ?」
心の準備をしていない状況でかわいい女の子に話しかけられるときょどってしまう。みんなそうだろう。
「じつは私、最近この街に来たんです」
「ええと、アメリカとかイギリス?」
「いいえ九州です」
「なるほどな、苦労しそうだな」
「はい……道がわからなくて」
どこの県かわからないが母親と近い出身らしい。というか外国人ではないことに驚きだ。
「だからあの道案内してくれませんか。おいしいラーメンがたべたいんです」
「ああいいぜ」
かわいい女の子にそんなことを言われては断れない。
ただ、ラーメン店ってどこのあったっけ?




