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あれは、おれが17才――2年生の頃の話だ。
その当時、おれたちはへんぴな田舎に暮らしていた。どのくらい田舎かというと、家から少し出れば田んぼやあぜ道に行きつくくらいだ。ビルが立ち並ぶ都会の風景とは似ても似つかない。まあ、今ではあの辺りもかなり開発が進んでいるが、その頃の時代を考えれば仕方のない話だ。
当時、かなりのやんちゃだったおれは、校則にしばられた学校生活が堅苦しくてたまらなく、隙さえあれば学校をさぼって友人たちと遊び呆けていた。そんな友人の中でも、一番よくつるんでいたのが、透だった。透とおれとは先ほども話した通り、小学校からの付き合い――いわゆる幼馴染というやつだった。妙にウマが合ったし、家も近所で、家族ぐるみで付き合ってもいた。
期末テストが終わった日のこと。
学校から帰るとすぐに、おれと透は原付自転車でツーリングに出かけた。当然、学校の規則ではバイクに乗ることは、自転車以外は禁止されている。だが、やんちゃだったおれたちは、「そんなものクソ喰らえ」という感覚で、16才になった時点で原付の免許をさっさと取得し、あちこち乗りまわしていた。
両端、田んぼやあぜ道に囲まれた風景の中、ブオンブオンとエンジン音を響かせながら走るのは爽快というものだ。因みにその当時、原付自転車にヘルメット着用の義務はなかった。心地よい風を額に浴び、テストというかったるいものが終わった解放感もあって、気分は最高だった。
だが、厄介なものに出くわした。
どっかのじいさんが運転する軽トラに追いついたのだ。ブロロロロ……と気の抜けた音を響かせ、やたらとのんびりとしたスピードで走っている。しかも、後ろに積んである草から土や埃が飛んできて、目に入って痛い。鬱陶しくて、おれも透もイライラしてきた。
しびれを切らしたらしく、透は軽トラを追い越そうとハンドルを切った。対向車線に入り、いざトラックを追い抜こうとしたその時――。
対向車線から、大型トラックが突っ込んできた。
どかっ――!!
もちろんブレーキを踏む余裕などなかった。透の原付とトラックは正面衝突し、原付は倒れてトラックの下を滑り、透は後ろに吹っ飛ばされ、地面を転がって田んぼの中に落ちた。
「透――!」
おれは叫んで、急いで透を助けに行った。田んぼの中に入り、泥だらけになりながら透を引っ張り出す。透はひどい有り様だった。顔から腕から、至るところから血を流し、足などはおかしな方向に曲がっている。
「救急車を呼んでくるから、その子を見ててくれ!」
トラックの運転手はそう云って、公衆電話へと走った。当然だが、携帯電話などない時代である。残されたおれは、透を見守ることしかできなかった。ズタズタになった透を見るのは心が痛んだが、目を覆うことなどもちろんできるわけはない。おれはただ、透の無事を心から祈った。




