表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/16

 わたしは、あとひと月で16歳になる。

 他の4人と一緒に。



 わたしが住んでいる世界では16歳は成人を意味する。だれがそう決めたのかは知らないけれど。自分が産まれて、もうそんなに時間がたつのかと思うと、早いような、やっとかと言うような。


 成人したからには、今まで大人たちがしていてくれたように、畑を耕していかなきゃいけない。

 今までだって手伝いはしてきたけど、ただの手伝いと、大人として畑を耕すという事では責任の大きさがちがうのかもしれない。


 わたしとしては、それが誇らしいような、もう少し遊んでいたかったような。



 他の誰もしらない、わたしだけの秘密の場所。


 敷地の奥にある樹木林。


 ほとんどの木はいたずら防止の為に、すべるように加工されているけど、その中で一本だけ、その加工がはげている気がある。登ろうと思えばできないこともないのだ。


 それを発見したのは偶然だった。


 たぶん、むかしに皆でかくれんぼをしていた時に見つけたんだと思う。


 他の人におしえてあげて、秘密を共有してもよかったけど、なんとなくそれはしなかった。


 足をかけてよじ上る。

 そういえば久しぶりにこんな事する。

 最近は、成人式を迎えるので忙しかったから。


 登り切る頃には軽く息が切れていた。


 棟の方からはわたしの姿は見えない。まさか職員たちも、人が樹の上にいるとはおもわないだろうけど。


 太い幹に腰をおろして、足をぶらぶらさせた。

 ほてった頬に、すこし冷たい風があたって気持ちいい。




 この木に登ってもそう遠くは見えない。


 精々、周辺の森と、そこからはどこまでも続く砂漠だけだ。その砂漠も木の位置のせいで途切れて見える。


 わたしはそこから、太陽が立ち昇るのを認めた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ