四十七話、last episode 世界の下へ
最終話です。
「え?」
彼女の最後の声は、それだけの呆気ないものだった。それが発せられた直ぐ後、何かが床に落ちていく音がして、少し考えるとそれが朱里だと理解した。目の前のカイルも呆然としており、隅の貴族たちもこの展開についていけないようだった。
「はは、はははははははははは、ハシャハハハハハハハハハハハハハハ」
誰の声かもわからない奇妙な笑い声が部屋に響く。それが一番聞こえているのが自分だと気づき、自分の口から発せられていると、さらに自覚する。意識をしなくても勝手に体中の魔力が魔法を使うように貯められていく。そして、俺の許容量に近づいて……
やばい!!
俺は一瞬で朱里に覆い被さった。魔力は何とか置き去りにして、空間に残したが、覆い被さった直ぐ後には、それが暴走するのが、感覚だけで手に取るようにわかった。
轟音が、聞こえた気がした。
同時に意識とかも全て吹っ飛び、浮遊感が残った。覆い被さると同時に掴んでいたのか、俺は朱里に覆い被さるような体勢となっていた。そして、俺たちは、街の隅へ落ちた。
街ではまだ轟々と、火が燃え上がっていたし、人が焼けた気持ち悪くなるような匂いも漂っていた。それに気づいたのは夜のことで、いままで意識をずっと吹っ飛ばしていたらしいと気づいた。火は全てではないものの鎮火し始め、人は逃げる悲鳴から探す悲鳴に声を変えていた。
「あ…………れ?」
傍らには朱里が居た。城でのことを思い出すと同時に、なにをするのかは一瞬で決まった。ダイナマイト風にやろうと瞬間的に思ったが、魔力が欠乏していた。暴発するほどの魔力を残してきたのだ。回復するのには数日かかるだろう。だが、もう回復することはない。俺は確信を持ってそう思っていた。
幸い民家の近くに落下していたので、シャベルをこっそりと頂戴する。それと同時に少し固いが、勇者補正のおかげでいとも容易く掘れる地面を掘っていく。
ザクザク……ザクザク……ドコー?……ゴウゴウ……ザクザク……
土を掘る音も、人を呼ぶ音も、炎の音も、全てが聞こえる。無心になっているうちに、十分な深さを掘っていた。
「ご主人様……? ご主人様ー!」
ソラが俺を捜してくれているらしい。だが、俺は答えない。そして、無心となっているうちに少し魔力は戻っていたようだった。ソラに魔法の伝令鳥で、さようなら、と連絡し、最後に使う用の魔力は残しておく。意識さえあれば、散らばった魔力は戻ると、最後の前に覚えたところで、何の意味もないと自覚する。傍らに置いていた朱里は、先に土の穴の中に入れた。
「一緒に……逝こうな……」
そうつぶやくと同時、俺も穴の中へ飛び込んだ。
「《絶望の土<アペルピスィアギ>》」
頭の上方にいきなり質量が増えたような気配を覚え、それが自分が出した土だと理解する。そして、俺と朱里は……
土に還った。
世界を壊せや勇者様を今まで読んでいただき、ありがとうございました。
前作よりも、多くの人に読んでもらうことができて、とても嬉しいです。
これからは受験などで、少し投稿が遅れるかもしれませんが、出来るだけ次の話をかけるよう、努力します。
これからもよろしくお願いします。




