四十五話、逃走
昨日は投稿できず申し訳ありません。
今日は昨日の分と合わせて、二話投稿しようと思います。
残り三話ですので、明日に最終話を投稿します。
慌てふためく王族。ざまぁみろ。
俺は王城に入った。護衛もいるにはいたが、全員俺の敵ではなかった。剣を一降りしたら、血を噴き出して死んだ。呆気ない。
「はぁ……」
怒りもこんな光景を見せられたらそこまでは湧いてこない。淡々と、ただ淡々と人間を斬っていく。
「な、なんだ!? おまえが今回の首謀者かぁ!?」
王族はさらに慌てる。
「大当たりだよっ」
言葉を発すると同時に一人斬る。さて、この王様風な人間を斬るか。たぶん王様だろ。そう、剣を降りあげようとした、が
「!?」
部屋の全員が驚く。なぜなら、この状況でガラスが割れる音がしたからだ。向こうからしてみれば、俺に続く新たな進入者、こちらからしてみれば不穏分子。不確定要素が増える。そして、そのガラスを割ったところから、当然ながら人が入ってくる。とてつもない速度で。神速とも、言うべき速度は、部屋の全員を驚愕させ、俺の剣を阻む。
「自分に楔をつけた奴を庇うのか?」
俺は聞く。
「博信君に人殺ししてほしくないですからね」
毅然として彼女は答える。そう、朱里は答えた。
「どうやって檻を抜けてきた?」
「全力で魔法解除しました」
「そこまで俺に人を殺してほしくないか」
「当然ですよ」
朱里が俺を気絶させようと剣を振るってくる。剣は鋭くなくとも、重く俺の懐へ入ってくる。
「せぇいっ!!!!」
俺はそれに自分の剣を入れて防ぐ。
「なぜそこまでして俺を止める?」
「同じようなことを何回も聞くと幻滅しますよ?」
「ちっ……」
言葉を少し酌み交わしながら、俺らは剣舞とも言うべき美しさを伴う戦闘を再開する。
剣の音だけが無機質に部屋に響く。少したった頃、そこにいた王様(仮定)が、
「お、お前等は何者だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!????」
大声を出してきた。うるさい。全力でうるさい。苛立つ心を抑え、剣舞へと戻る。が、そんな俺の態度を自分へと冒涜と感じ取ったのか、
「ご、護衛どもぉ! なにをしている! でくの坊を雇った覚えはないぞっ!!!」
そういうと、まだ殺されてなかった兵士か、用心棒か、護衛か、全くよくわからないものたちが、恐怖心を持ちながら俺たちに向かってきた。
俺は迷っていた。朱里に殺すなと言われて、このまま殺そうという気持ちと、朱里の言ったとおりに、殺さないで過ごすという気持ちが、心の中でせめぎ合っている。向かってくる兵士を前に、どうするか、と、心の中で唱えた。が、そんなことで事態は好転することもなく、朱里との戦闘は未だに続けられており、兵士たちも迫ってくる。仕方ないので、一瞬剣を打つのをやめ、回避に徹する。それで朱里の剣を避け、左斜め後ろに。そこから向かってくる兵士に、向かい、瞬発的に足を加速させる。そして、兵士の頭を、少し強化と念じた腕で、一人一人気絶させていく。が、それをしているのにも文句があるのか、朱里が向かってくる。
「そんなに俺に人を傷つけてもらいたくないか……」
観念するように俺は呟いたのだった。




