四十二話、破壊の始まり。
「《熱き隕石<ケオメテオリティス>》!!!!」
練った魔力を炎の隕石にして、解き放つ。街の上空に隕石は出現し、街へと降り注ぐ。俺は隕石の方向を出来るだけ城方面に落ちるように調整しながら、次の魔法の魔力を練る。傍らに佇むソラは、出番を待ち、自分の持てる最大の力で、俺の強化魔法と自分の力を適合しようとしている。
数秒後……
溜まった。
「《炎の檻<フロガクルヴィ>》!!!」
溜まった魔力を解放して、街の外に炎の檻を作る。少し魔法回路をいじり、少しずつ街の中心部に迫るようにする。魔力を少し耳に分けると、人の悲鳴がよく聞こえる。だが、王族の安否などはわからない。安否確認の魔法は、対象の名前がわからない。
「仕方ないか……」
いきなり魔法以外の発言をしたのに驚いたのか、ソラがこちらを向いてくる。
「あぁ、何でもない」
追跡型の魔法でも考えるか、と思うが、俺は狙いの王様の名前を知らない。
「くそっ」
無計画に破壊を始めるんではなかった。後悔する。自分への苛立ちを感じる。このままではどうしようもないと思いながらも、王様くらい事前調査できたじゃないかと批判的な意見が頭の中で渦巻く。
「何かあったんですか!?」
なにもないことくらい、一緒にいるのだからわかるだろう。ただ単に心配してくれているソラにも、批判的になっている。このままではだめだ。考える。
仕方ないか。
走り出す。
それしかないだろう。考えてもだめなら行動あるのみだ。走れ。炎へ。駆けろ。地獄へ。途中後ろを振り向くと、しっかりとソラも付いてきていた。
「博信くん……!?」
城門近くに行くと、外からの襲撃に警戒していたのか、朱里を見つける。その体は、元の世界では全くみられない鎧に包まれていて、腰には剣も提げている。朱里を戦場になど出せない。そういう思いがが一瞬で頭の中を駆け巡るが、そもそもこの戦場を作ったのは自分だと認識し直す。
観念する。真実を言うしかない。それしか残された道はない。取り繕っても無意味だ。そもそも、今からやることは朱里の為になる。
「あぁ、朱里か、今から、王様ぶっ殺してくるわ」
「はっ……!?」
「なんだとっ……!!!!!」
疑問の声が城門前に響く。
もう一つの声は……カイルだとか言う、朱里の旅の仲間という目障りな剣士か。あの程度なら一瞬で斬殺できるな、と思考を広がらせる。
まぁ、そんなことは関係ない。振り切るだけだ。
「止めるなよ」
まぁ、カイルだかという筋肉剣士くらい、ソラが相手してくれるだろう。朱里は……俺は朱里のためにやっているのだ。なにも問題はない。そう心の中で結論づけて、王城に向かい再加速する。




