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四話、街を探索しようとしたら見つけたものとは!?

 神殿の敷地を抜けると、そこには街が広がっていた。活気があり、人々が群れる街。どこの店でも、店先の売り子が声を張り上げ、奥の店主が金の計算をする。カランコロンと鈴の音が鳴ると、いらっしゃーいと声が響く。なんて活気がある街なんだ。壊しておくにはもったいない。

 壊すけどね。

 だが、壊すと言ってもすぐ壊すとか趣がない。この人々が阿鼻叫喚の色に彩られるのを一人眺めるのは楽しそうだ。だが、もっと楽しみ方はあるのではないだろうか? 例を挙げよう。先ほどの神殿で、一番殺すのに燃えたのは誰だ? 俺は自分の心の中に自問する。答え? 決まっている。あのエルフだ。ほぼ同位くらいで、王様も燃えたが、あれは俺をこの世界に召還した張本人だからで、この世界に俺を召還した張本人はすでに一人もいなくなっている。召還の魔法を唱えた者なら、まだいるだろうが、それは上からの命令に従っただけであって、俺をこの世界に召還した張本人か? と聞かれると、疑問符が浮かぶ。まぁ、結論だけ述べると、殺したときに最大級の感慨というか感動を得られるのは、相手と親しかったとき。ということだ。かといって、親しすぎると殺せなくなるな……と考えた。

「どうすっかー」

 前途多難だ。世界を壊すにも、ただ壊すだけじゃ飽き飽きとする。なにかアクセントが欲しい。親しくなってから殺すというのも、人間の感情ほど操るのが難しい物はないので、途中で世界を壊すのをやめにしようかな、と思ったら本末転倒だ。

 そんな風に完全に殺人鬼な考えをしていると、街の中で、一つの店に目がいった。活気がある街の中、負のイメージを出し、鬱々とした空気が漂っている。先程俺が味わった、血と肉という死の空気とはまた違う、絶望の空気だった。

「なんだ? あれは」

 勇者補正なのか、完全に文字は読みとれ会話はできるので、その店に目を凝らすが……微妙に遠くて見れない。歩いていけばいいな、と当然のことを考え、歩いた。そうして見えたのは……

〔奴隷の店、エスクラボ〕

 奴隷店か。俺は興味を持った。一人で世界を壊す旅というのもおもしろそうだが、いろいろ不自由はあると思うし、二人の方がいろいろ楽しいだろう。三人以上だと、また違ったデメリットが出てくると思うので、二人旅くらいがちょうどいい。多分異世界補正で、奴隷も大体は可愛いだろう。今、ざっと街を見ても、特別顔が……というような人はいないし。基本的に美女、美少女だ。多分奴隷も例外ではないだろう。やっぱ、旅の同伴をするなら美少女とか美女がいいよね! というような低俗的な結論に、俺は至った。

 カランコロン。俺は店のドアを開けた。

 奴隷は店先に並べられていた。大体全員可愛かった。美少女と呼んで差し支えがない。だが、アクセントとしては微妙だった。目に面白味がない。あるのは奴隷になったという諦めか、奴隷になっても逃げてやるという反抗か。その二つだけだった。

「どれかお気に召した奴隷はおりましたか?」

 店主が俺によって来る。奴隷で一儲けしたそこら辺の成金だろう。

「微妙だな。他はいるか?」

 微妙、という言葉が出た瞬間、店主は一瞬イラッとしたようだった。だが、俺に購入の意欲があると見ると、一瞬で目の色を変え、商売人の目になった。商売…………!?



 俺、金持ってねぇや。

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