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三十八話、新たな街

三章(最終章)突入です。

また、お気に入りが百件を越えました。ユニークも一万越しました。ここまで来ることが出来たのも、すべて読者の皆さんのおかげです。本当にありがとうございます。そして、これからもよろしくお願いします。

 店では果実が売られ、商売人が、自分の商品をこれでもかというほどアピールする。そんな喧騒がある、大きな街。そこが、ガルム王国の首都、アルデハランだった。

 ミルド帝国の辺境にあったソラの故郷の村からの時は、ものすごく早く流れた気がする。村の滞在は殆どせず、一日泊まったら、破壊。町になっても、物資を軽く整えたら、破壊。テンポ良く、破壊の旅は進んでいた。それでも、別の国の首都までの時間はかかり、ソラの故郷の村から換算すると、二ヶ月ほどが経っていたと思う。計五ヶ月。半年ほどの月日を、俺はこの世界で過ごしたことになる。狂気に彩られた復讐の旅を、過ごしてきたことになる。


 路地裏。ガラの悪いものに、小汚い浮浪者。真っ当とは言えない人間の溜まり場。少しずつ、そこで俺は破壊を繰り返す。

「《小さき火<ミクロスフォティア>》」

 仄かに光る火が、人の心臓を焼く。自分がどう攻撃されたかもわからない死に様。ほぼすべての人間が、驚愕を表し、一部は殺されたとも気づかない、現世への絶望の顔だった。

 傍らにソラはいない。ソラが買い物をしたいらしいので、俺は暇つぶしに、旅の目的を遂行していた。実際問題、アルデハランは大きい。とてつもなく大きい。一気に壊すのが億劫になる程の大きさ。疲れる。などで、俺はちまちまと殺しているわけだ。わざわざ買い物をしなくても別に旅に必要なものくらい記憶から複写できるのだが、ソラは、買い物そのものに意義があるといった風に、買い物という無駄な行為に勤しんでいる。

「暇だなぁ……」

 俺がそういっている間にも、一人、また一人と浮浪者は死んでいく。悲鳴が時々上がり、驚愕の顔をする浮浪者もいるが、俺がやったことに気づく奴は居ない。

「はぁ……」

 憂鬱だ。この世界の全容でも把握したい。あとどれくらいの労力がこの旅に必要なのか、俺は理解していない。理解したいな、その方が楽そうだ。


 路地裏からでると、近くに偶然ソラが居た。遅延性発現勇者補正という名前だけは長い特に意味のないもので、俺は自然探索能力を得た。簡単にいうと、魔法を使わなくても、周囲のものの把握ができるということだ。この便利な補正はマーキングができるので、ソラにマーキングしてある。微妙に卑猥な言い回しだな、と自分の思考を自分で自嘲する。まぁ、要するにソラは近くにいるのだ。走って会いに行こうか。

 ソラは買い物袋をたくさん抱えていた。旅に持っていくにはふさわしくない量だ。

「多くないか?」

 俺は聞いた。というかこんなに持っていっても邪魔だ。すごい邪魔だ。四次元空間的な場所が欲しいなと思うほど邪魔だ。

「大丈夫ですよ。大体が食べ物ですから」

「食材? 加工品?」

「食材です」

「キッチンはあるのか?」

「………………!!」

 バカだろ。五ヶ月の旅でなにを学んだんだ。こいつは。あの一件以降時々抜けていると思うような行動がでてきたが、今日は一段とひどい。

「仕方ない、キッチンがある宿屋でも探すか」

「そうですね!!」

 嬉々とした表情で同意してくる。というか、買い物袋の中身が野菜だらけだ。そんなにおまえは野菜が食べたいか。

「じゃぁ、探しますか」



 まぁ、ここで普通の宿屋を探していたら、普通に破壊の旅が続いたかもしれない。そう思うほどの出来事が、あったことを、このときは気づいていなかった……

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