三十五話、悪魔戦其の壱
剣を振るう。防がれる。横でソラの剣も振るわれている。それにあわせ、俺も剣を振るう。防がれる。
「弱いのぉ」
悪魔は気だるそうに言う。そのまま魔力を練り……
大きい!?
魔力量がとてつもなく大きい。何故だ? 考える。魔力をしっかりと視る。看破。
この世界の魔法は、発動と強化に魔力を使う。要するに、基本は全部を強化につぎ込めないのだ。だが、悪魔はそれをやっている。それが魔力を大きいと感じた要因。だが、何故?
発動をさせずに、強化だけだとこちらにダメージが来ない。何故そんなことを……?
「暗黒の書!」
悪魔が叫ぶ。同時、地下、いや、地面から一冊の書物が出てくる。
魔導書!?
この世界にきてから三ヶ月と、日は浅い俺だが、何度も魔法屋で聞いた名前だ。魔法屋は、魔導具とかを作るのに便利だから数回通った。と、話が脱線した。元に戻す。
魔導書とは、魔法を発動してくれる本だ。素質にその魔導書が同調すれば、いとも簡単に魔術が使うことができる。問題点は同調しなければいけない点と、魔導書に載っているのは、所謂珍しい……正直に使い所に迷うような効果しか載っていない場合が多い。戦闘で使えない魔法が載っている場合が殆どだが、何にでも例外は存在する。
その、例外を手にしたものが、魔力の強化だけで魔法を使えるようになるのだ。
説明終わり。
「くそっ」
俺は苛立つ。何より魔導書での攻撃魔法は、速く強いと聞いたことがある。そして、完全に向こうは発動できる準備が整っている。
「《黒雨<マヴロヴロヒ>》!!」
どんな魔法だ!? と思うと、上から雨が降ってくる。そして……
「え……?」
ソラの口から疑問が生み出される。やばいっ、瞬間的に俺はそう思う。この魔法は思っていたのとは違い、攻撃魔法ではなかった。だが、妨害する。
効果を考えると、雨に当たった者に掛かっている魔法効果の消去と、魔力の減退だろう。だが、永続的な強化魔法で多少なりとも身体を強化していた俺と、強化魔法がないと何も戦えないソラの二人のパーティーに使えば、抜群の効果が期待できる。
確実にこちらの痛いところを突く戦い方。単純な戦闘力。どちらもかなわない。勝るとすれば……発想か?
だが、思いつかない。とりあえず強化呪文? 黒雨とこちらの強化呪文どちらが速く発動できるかは明白。その合間に何発こちらにたたき込まれる?
「くそっ」
何も思いつかない。何か、何か。
銃弾。やってみる価値はあるかも知れない。
「《物質創造<イリコズィミウルギア>》!!!」
鉛だけの銃弾をこの世界に創造……
「《黒の妖精<マヴロネナイダ>》」
囁かれる。黒き怨念の逆流。
「なっ」
消えた。完全にこの世に鉛弾が創造される前に、消された。呪文消去? 四文字の単語が浮かんでくる。どんだけ厄介なんだ。あのスピードで呪文を消されたら打つ手がない……
完全に、八方塞がりといっても良かった。物質創造での、元の世界的勝ち方が、呪文消去によって防がれる。どうすればいいのだ?




