二十八話、視点をソラに移したいくらい暇な話。
短いので、本日は二話投稿します。
次の日。俺たちは清々しいとは言えない朝を迎えた。なにより前日の昼寝が堪えたのか、俺の寝起きがすごく悪い。とにかく悪い。死にそうだ。
「うぅぅぅ……」
前日より一層酷い呻き声をあげる。
「大丈夫ですか?」
ソラはしっかりと起きている。
「少し……待ってくれ……」
最近は簡単な魔法をゆっくりとなら無詠唱で唱えれるようになった。《朝の覚醒》。念じると、先ほどまでの眠気が嘘のように消える。
「おはよう」
「おはようございます。ご主人様」
あぁ、なんと清々しい朝になったことだろうか。
「今日はどうする?」
朝の諸々の支度をやり終わり、俺はソラに向かい聞いた。簡潔に言うと、もう俺には目的がないのだ。俺だけならとっくにこの村を破壊して、次の目的地、すなわち次の破壊する場所を求めて、旅に出ていることだろう。だが、この村はソラの村だ。要するに、行動は殆どがソラ任せになると言うことだ。
「どうしますかね……」
ソラは悩んでいるようだった。
「とりあえず、元彼氏でも探してみます」
あぁ、探せるんだな。俺との圧倒的な違いだった。嫉妬の炎は当然のように燃えた。だが、意味はない。嫉妬したところで、俺が元の世界に戻ることはなく、家族、恋人、友人、親友。全ての人々にあうことはできない。
「おう、わかった。いってら」
俺は苦しみを心に押し込めて、ソラに告げた。
「はい。ありがとうございます」
ソラが宿屋から出ていく。それを見送って、おれは、はぁ、とため息をついた。
「元の世界に、戻りてぇな」
誰もいない宿屋の部屋で、一人呟いた。
嗚呼、なんと暇なことか。
やることがない。村には出たが特に見る物はなかった。すごく暇だ。早く壊したい。娯楽が欲しい。
「はぁ……」
いろいろな思いを込めた溜息を一つ。
「ただいまです~」
ソラが戻ってきた。
「おかえり」
俺は挨拶を返す。
「どうだった?」
聞いてみる。好奇心は猫を殺すらしいが、気にしない。大事なものだろうから。
「みつけましたよ。結構やつれていましたね。まぁ、私と会うと元気になってくれましたけど」
そう語るソラは果てしなく上機嫌だ。
「そうか」
一言呟いて、俺はベッドに身を預ける。聞いても辛いだけだな。と悟る。
そんなこんなで、今日一日は過ぎていた。嗚呼、平穏のなんと恋しきものか。と、後になって思うかもしれない。