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二十四話、最終破壊とか旅立ちとか

これにて、一章が終わります。次の話から二章が始まります。

 結論から言おう。俺はとりあえず逃げた。だがこれから街は壊すつもりだ。俺は強欲なのだ。どちらかしかやらないとか、勿体ない。勿体ないとは本当にいい日本語だな。

「これでよかったんですか?」

 ソラが俺に聞いてくる。

「あぁ、問題ない」

 時間はあるのだ。何も問題はない。まぁ、壊すのが少し遅れるのと、壊す現場が見れないのがネックだが、気にしたら負けだ。でもやっぱり壊す現場は見たかったな。仕方ないか。

「まぁ、少し名残惜しいがな」

 やっと宿屋に慣れたところだ。真っ当な人間としてこの世界で生きていくのなら、拠点としてこの街は居心地が良かったと思うな。果実店の娘はいい奴だし。殺すと思うけどさ。

「じゃぁ、そろそろやるか」

 結構な距離を街から離れた。いや、正確に言うと、被害が及ばなそうなギリギリの範囲に逃げたということだ。まぁ、巻き込まれたくは無いが、状況は見たい。なんという二律背反な心情だろうか。まぁ仕方ない。殺人者は多分被害者を見たいのだろう。殺人者の心情なんて知らないが。いや、俺が殺人者か。

「《炎の檻<フロガクルヴィ>》」

「くっ」

 精神力をごっそりともっていかれるような感じがした。

「大丈夫ですか!?」

 ソラが焦って聞いてくる。問題ない。

「大丈夫だ。範囲を広く設定したからな。意外と魔力を喰われた」

 街の門に部分配置という方法もあったが、街の外壁を壊さないとも限らない。そう思い街の外壁の周り全域に檻を落としたが、予想以上の魔力消費量だった。

「あと一つ、魔法を使わないとだしな」

 綺麗だろうな、

「《地獄花火<コラスィルルディフォティア>》!!!!!!」

 花火と人の血と肉。

 大爆発。そう形容するのが最も適当だろう。が、魔王戦の無骨な爆発とは違う、美麗な炎。開いた花のような炎。本来ならば空中に打ち上げられるもの、と言っても元の世界の話だが、それが、街を、

 襲い、破壊し、蹂躙する。

 大きな音と共に、街は吹き飛んだ。街から吹き飛ぶ人々もいるはずだが、何故か吹き飛んだ奴はいない。

「何人が生き残ったのかねー」

 俺は呟く。街を一斉に壊すときは、基本的に中にあるものも全て消えると考えてもいいだろう。まぁ、事前に食料や必要なものも持ってきた。大丈夫だろう。

「これからどうするんですか?」

 確かにどうするかなー、と俺は一瞬だけ考えた。まぁやることはひとつしかないけど。

「あの街はもういい。まだ生きている人間はいるだろうが、わざわざ全員殺すのは面倒だ。まぁ、檻も直に消えるし、何も問題はないだろう」

「そうですか」

 無関心っぽいな。まぁ、自分を奴隷として幽閉した街なんてどうでもいいのかな?

「そういえば、奴隷として売られていたのは何日くらいなんだ?」

 俺は思いついたので聞いてみた。

「二ヶ月くらいですかねー。意外と売られないもんだなーと思いながら、まずい飯を食っていましたよ」

「そうか」

 聞いたけど特に感想は持てなかった。なんでだろうな。

「まぁ、そんなことはどうでもいい」

「ご主人様から聞いてきたじゃないですか」

「それもそうか、まぁいいじゃないか」

「えー」

 うるさいから無視する。悪いのは俺だと思うけど。

「とりあえず、世界を壊すたびでもしようぜ。こんな感じにたくさんの街を壊す旅だ」

「なんとも前途多難な旅ですね。やったとことがある人がいたら尊敬半分畏怖半分くらいですかね」

「やろうとしている人がいたら?」

「侮蔑全部ですかね」

「お前奴隷のくせに結構辛辣だよな」

「奴隷ですから」

「意味わかんねー」

 殺しの後だというのに、軽快な感じで話が進むな、と俺は思ったまぁ、俺もソラも殺したという事実を身近で感じたくなかったんだろう。

「さて、行くか」

 話を切り上げて、次の街に向かうことにする。

「そうですね」

 と、ソラも続く。

「ところで、」

 どうしたんだ?

「馬は何処ですか?」

 やべぇ、買うの忘れていた。

 俺たちの旅は、次の街までは徒歩らしい。次の街に馬があると良いな。

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