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十六話、一週間の準備

PV15000、ユニーク3000越えありがとうございます。これもみなさんの応援のおかげです!

本当はPV一万の時にやりたかったんですが、すっかり忘れていました。

 世界を壊すと再認識してから、約五日。俺は躍起になって旅をするために必要なことと、この世界の状況などを調べあげた。犯罪者になりながら世界を巡るんだ。石橋を叩いておいた方がいいだろう。

 毎日、夜には酒場に入り浸った。初めて飲んだ酒だが、魔法で強制的に酔わないようにした。情報を得るために酔っているようでは話にならない。結論として、ミルド帝国は、騎士派と神殿派が存在していた。

「そんなこと常識ではないんですか?」

 酒場から帰ってきた後、情報の整理をしていたら、何故か起きてきたソラに言われた。

「俺は別の世界から来た人間だから、この世界の情勢とかには全くと言っていいほど疎いんだよ」

 あぁ、と、ソラは納得したような顔をして、

「じゃ、寝ますね」

 そそくさとベッドに入っていった。少しは手伝おうとかないのかね。まぁいいや、俺は情報を纏めた。

 帝国には、騎士派と神殿派が存在。

 国王は神殿派

 他の国とは、戦争をしているが膠着状態にあり、兵士も配備されてはいるが、すぐにでも戦おうという雰囲気ではない。ただし、国王が死んだので、それをみて向こうが攻めてくるかは不明。

 魔物は、ここら一帯は比較的強い。他の国と比べて断然に強い。理由は、近くに魔王城があるかららしい。魔物に悩まされているから、俺を召還したのだと納得がいった。

 この国では、国の兵士よりは、冒険者や傭兵の方が基本的に強い。ただし、冒険者や傭兵よりは、騎士の方が強い。

 魔法を使える奴は意外と少ない。

 旅の情報 etc……


 結構な情報が集まった。まぁ、ここらで使いそうな情報はこの国の状況だろう。神殿派のトップ相当である、国王が死んだので、騎士派が仕掛けてくる可能性は大いにあるし、他の国、名前はピルド連合や、ライル帝国だったか、ふぁ、攻めてくる可能性も捨てきれない。さらに、魔王軍の攻撃が熾烈になることもある。

「この国ってかなり不安定だな……」

 俺は、一人でそうつぶやいた。危険な爆弾をいくつももっている。しかも、それに対抗するのは、金で動く冒険者や傭兵たち。騎士は数が少ないらしい。

「それで勇者を呼んだのか」

 確かに勇者を屈服させる手だてがあれば、まず、魔物への脅威は減る。しかも、その勇者がこの国を好いてくれ、騎士などに入ったら一騎当千の活躍をするだろう。

「ま、俺はこの国を壊すがな」

 反撃される余地を勇者に残すなんて、甘いよな。と、俺は考える。速攻で拘束し、魔法に対する手だてをなくし、奴隷にすれば、完璧だろう。

「思考を呼んでいるようで悪いですけど、親族の合意がないと、奴隷にはできないですよ。奴隷承認は、親族の前で、奴隷準備という魔法を使うしかないです。結論から言うと、勇者は奴隷にできません。また、勇者が国に逆らわない理由は王家の最大級機密となっていますが、今までの勇者系の文献を紐解いていくと、序盤は渋々つきあっていた風が多いそうですよ」

 なんという、知識量。詳しすぎる。

「何でおまえはそんなに詳しいんだ?」

「一時期首都で、勇者専攻の勉学を修めていたんですよ。村の金銭的危機で、戻らされましたけどね」

「そうか……」

 ソラも昔から苦労しているということは感じていた。だが、まざまざと、元の世界の人々と、この世界の人々とでは、格差がありすぎる。こんな文明が低い世界で、高度な趣味と呼べるものもなく、ただいきる最低限度の稼ぎを得る生活など、俺には想像ができなかった。

「この世界は……大変なんだな」

「この世界が大変なんじゃなくて、ご主人様の世界が楽すぎるんですよ。働かなくても生きていけるとか、どんなパラダイスですか。この世界では、六歳くらいでふつうに働いて、労働力にならなかったら即奴隷ですからね」

「そうだな……」

 こうして考えてみると、イージーモードの人生から、いきなりハードモードに難易度をあげられた気分だ。勇者補正だけでどこまでできるのか、俺にはわからない。力を理解していない。

「ご主人様は、勇者補正がある分楽じゃないですか」

「危うく魔王討伐の手先になるところだったがな。上の命令で動きたくねーよ」

「上の命令は絶対ですよ? ご主人様の世界のような平等を目指している人なんてどこにもいません。ただ、生きるには自分が働くか、他人に働かせるしかないんですよ。他人を働かせるのも楽じゃありません」

「まぉ、そんなことグチグチ言い合っても仕方ないだろう。それと、そろそろ旅の支度が整ってきたから、明後日あたりにでも、壊すぞ」

「あい、わかりましたよ。私はどうします?」

「できれば壊すのに加担してもらいたいな。身体強化の魔法は使えるから、戦えると思うし」

「できれば殺したくありませんね。今までに人を殺したことはありませんし、抵抗はあります。まぁ、この世界でこんな潔癖なことを言ってられるとは思いませんけどね。まぁ、それでも私が戦う必要があったときは、ご主人様が命令でもすればいいと思いますよ? そうすれば私は少し楽ですしね。できればやってほしくないですけど」

「わかったよ。できるだけソラは殺しに加担させない」

「ありがとうございます。こんなことも言っていられないのはわかるんですけどね」

「まぁ、仕方ないだろ。人間を殺すのに抵抗がない奴なんて、俺がみてみたいくらいだ。俺だって復讐という確固たる目的の上じゃないと殺したくはないしな」

「人を殺す理由なんて、いりませんけどね」

 そうした雑談で、夜は更けていった。

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