十話、奴隷と会話
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さて困った。この少女と奴隷屋を出てきたんだが、ゆっくり話す場所が何処にもない。歩き回ってもこの子は逃げそうだから手を離せられないし。
そうだ! 奴隷にする魔法がどーたらこーたらって、奴隷屋の店主が言っていたな。どんな魔法なんだろうか? と、考えた。瞬間。頭の中に文字が踊った。
「《奴隷契約<スクラヴォススィンヴォレオ>》」
踊った文字を流暢な口調で話す。する、と横の少女がビクッと一瞬ふるえた。
「どうした?」
俺は聞いた。頑固なのかこの少女は、俺に買われてから一度も喋っていない。強情だなぁと思いながら、俺はこの子が喋るのを歩きながら待った。
だが、十数秒経っても喋りそうもない。少しくらい脅すか。
「【言ってくれよ、お願いだからさ】」
何だろうか、言葉に強い力が込められた気がする。まぁいいか、どうせ話さないだろう、と思ったが、
「奴隷契約をされた気がします……もしされていたら、もうお嫁にいけません……」
少女が喋った!? 頑固な少女が何故喋ったのか、俺にはわからなかった。少女自身も
「え……?」
と言いながら、怪訝な顔をしている。力を込めて聞けばいいのか? 俺はそう思った。
「【奴隷契約ってなんなの?】」
俺は聞いた。また力が込められている気がした。
「私の知っている知識では、奴隷が主人に逆らわないようにするための魔法だと聞いています。たとえば主人が命令を出したら、できる範囲で絶対服従だとか……」
そうか、いいことを聞いたぞ。
「なるほど……」
俺はつぶやいた。たぶんさっきの二つの言葉には、俺の『命令』が含まれていたんだろう。だから俺の質問に拒否することができなかったんだ。俺は納得した。
「【私はご主人様の従順なる犬ですって言ってみて】」
「私はご主人様の従順なる犬です」
言った後少女は、はっ……!? とした顔になって、それから顔を赤らめた。これは面白いぞ、と俺は思った。
「ふつうに受け答えしてくれる?」
命令を入れないで言ってみた。
「仕方ないですね……」
微妙に反抗的な態度だが、これ以上刃向かってもなにをされるかわからないと思ったのだろう。普通に答えてくれた。
「じゃぁとりあえず……どっかで君の生い立ちとかいろいろと、俺の生い立ち……はいらないな。どんな存在かと、目的を話そう」
そう俺が言い、
「【着いてこい……後ついでに、俺から離れるな。大体……まぁ、少し探せばわかるくらいの距離な】」
そう俺が言うと。
「仕方ないですね……わかりました」
渋々頷いた。
「じゃっ、どっか……公園でも行くか!」
そう言って、俺は走り出した。仕方なしといった感じで、少女は着いてきた。




