俺、また馬に生まれました―― 障害2戦目
「俺、また馬に生まれました」の続編にあたります。
本編はこちら↓
【俺、また馬に生まれましたシリーズ】
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いつになったら涼しくなるんだろう。
ぷくぷくだったエースは、ふっくらぐらいに戻ってきた。
近々レースに出走するらしい。重賞だって。大丈夫かなぁ。
前世の俺も、同じレースに出たような気がする。
そう、俺には前世の記憶がある。
前世の俺も競走馬だったのだ。しかも伝説の無敗馬。
いまの俺もすごいのか?って、前世とはずいぶん違う道を歩んでいる。
障害の初戦では、まさか2周走るなんて思わなかった。
しかも2周目には、いつの間にか障害が増えている。
竹ってこんなに早く成長するの???
もう二度と油断しない。
3周走る気でいくぞ――――。
……って、きつい。
最近は調教で2周走るようになった。
スタミナついてきたかも。ムキムキになれるかなぁ。
1周のときは余裕だったボーイも、2周になるとちょっとしんどそうだ。
「年だよね?」
そう言ったら、噛みつかれそうになった。
先輩、すみません。調子に乗りました。
いつもはノブさんが乗るけど、たまにあんちゃんが乗る。
ノブさんには絶対的な安心感があるんだけど、あんちゃんだとちょっと不安になってくる。
だけど俺、もう飛べることはわかってるから、大丈夫!
いよいよ障害レースの2戦目の日がやってきた。
特訓の成果を出すときだ!俺は気合を入れた。
ノブさんを背に今から走るコースをじっくり見て回る。
竹の芽が出てないか要チェックだ。
先っぽがやわらかブラシの生垣が3つ、竹柵が1つ。
砂のところと芝のところ、ノブさんが境目をよく見るように促してくる。
今のところ生えてきそうなところは見当たらない。
あとバンケット、高低差がかなりある谷みたいなのが2つ。きつそうだなぁ。
ひととおり見た後はスタート地点へ向かう。
俺は竹が生えかけてないかもう一度振り返ってみた。
ボーイに言われたけど、障害はスタートダッシュせずに落ち着いてスタートするのがマナーらしい。
ささやき作戦は封印だ。あ、掛かったフリもみんなを心配させるから封印ね。
それはいつか平地走ることになったときまで温存することにする。
がしゃん。ゲートから慌てずに飛び出す。
砂地から芝へ、しばらく障害はない。ここで位置取り、スタートが良かったのか前の方に行けた。
コーナーの途中に生垣がある。ちょっと威圧感があるけどボーイ曰く、上の先っぽはやわらかブラシ。
ちょっとだけ高めにジャンプしていく。
直線に入ると歓声があがる。前世の時の音より、静かだな。
やわらかブラシと固めブラシの障害を続けて飛んでいく。
前回のレースより固めブラシがもっと固い。超固めブラシと呼んじゃおう。
次のカーブは障害なし、竹生えてない。よし。
カーブを抜けると一気に下って上る谷だ。きっつい。
俺だけじゃない、みんなきつそうだ。
谷を上ったら、すぐにやわらかブラシが出現する。
飛んだら、また深い谷だ。今、俺は3番目ぐらいかな。
前後の間が体ひとつ分ぐらい空いている。これぐらいのほうが安心して走れる。
砂のほうにいかないってことは、やっぱり1周じゃないんだな。
今日は取り乱さないぞ。最初の生垣を再び飛ぶ。
観客前の生垣、竹柵、竹柵……いっこ増えてる!竹生えてる!!
いきなり増える竹を飛び越え、カーブを回って、再び谷。
ちょっと疲れてきたかも、バンケットで1頭にかわされてしまった。
登った直後の生垣も気合で飛び越える……ああ、またバンケットだ。
ちょっとだけくじけそうになった俺にノブさんの声が届く。
「これ越えたらゴールだよ。がんばれ、スーやん!がんばれ!」
うん、俺、頑張る。バンケットを力を込めて超えていく。
芝から砂地へ。
いつもより砂が重く感じる、上り坂がつらい。
でもみんなきついんだ。俺だけがきついんじゃない!!
俺は4着だった。
検量室前で、おっさんがリンゴをくれた。
今日のリンゴはきっと甘い……ってこれ酸っぱいよ。
明日の散歩は、晴れてるといいなぁ。




