表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

リンゴ潰しは習得済み

掲載日:2026/05/16

15分短編です

 「いっけな~い!遅刻遅刻!」

 私、剛田強子!ごくごく普通の15歳!

 筋トレ狂いの両親と、スポーツバカの兄のせいで、ついこの間、リンゴを片手で潰せるようになっちゃった!

 私は普通の15歳として、つつましやかに、静かに生きていきたいのに!家族のせいで、私の人生は筋トレばかり!

 私だって、普通の女の子たちみたいに、かわいいフリフリの洋服を着て、原宿に出かけてみたいのに!

 そんなさなか、潰されたリンゴたちの怨念がたまりにたまって、私に襲い掛かってきた!?どうする!?強子!!

 次回!潰されたリンゴの怪!お楽しみに!


 なんてことを考えていると、バスは学校前の停留所で止まった。

 私、剛田強子、15歳。リンゴを片手でつぶせるだけのごく普通の高校生だ。

 え?リンゴを片手で潰せるのは普通じゃない?いやいや、ソレが普通なのよ。

 まず、私の両親は、趣味の筋トレの影響で、片手でクルミを割る。なんなら指だ。指でクルミの殻を割って食べている。・・・本当だよ?嘘じゃない。兄は片手で自分の掌よりも大きいスイカをつぶすことが出来る。今度ボディビルの大会に出るって言っていた。

 両親の筋トレ方針は、実用的で見栄えの良い筋肉をつける事。だから私も高校生になったらボディビルの大会に出る様にと両親から念押しされている。

 兄も私も、体型は基本的には普通に見える。ただ全体的に大きいだけで。

 そんな家庭に生まれたら、そりゃぁリンゴなんて、序の口ですよ。

 生まれたころ、両親はとにかくイチゴやバナナなどの柔らかい果物を握らせてきた。新生児でも潰せる程度の果物から始めて、小学生の頃は、みかんを、中学生に上がると、完熟前の硬いキウイを握らされた。キウイの外側のチクチクが痛いから、出来れば他の果物が良かったんだけど。そして、高校生に上がるころ、リンゴを渡された。英才教育の結果、二年生に上がる前に、リンゴを潰せるようになってしまった。

 そんな特殊な生活をしているから、いわゆるみんなが抱える、誰が好きだのなんだのと言う、可愛らしい、高校生らしい悩みとは無縁に生きてきてしまった。

 だって、男子たちは自分より筋力で劣ってしまうし、女子からは友達としては見てもらえるけど、恋愛の対象にはしてもらえない。まぁ、私自身、別段そう言う興味があるわけではないから、どっちでも良いとは思うのだけれど。

 バスでは痴漢に遭う女子を助けようとして、おっさんの腕を掴んだら、見事に骨を粉砕してしまったことがある。折っただけにとどまらず、粉砕してしまうとは、我ながら恐ろしい。

 私はこの力と共に、生きていかねばならないのか。

 どうして私は普通に生きてこられなかったんだろう。もっと普通の生活ができたかもしれないのに。今更ながら、両親に少しだけ怒りが向く。

 ため息をつきつつ、クラスに入ると、男子たちが何やら集まって、コソコソと怪しい動きをしている。

「何してるの?」

「あ、強ちゃん、おはよう。男子たち、昼にスイカ割りするんだって」

「へぇ~」

 スイカねぇ・・・。まったくいつまでたってもガキなんだから。でもスイカ割りって、棒で叩く遊びだよね・・・。手で握る以外の割り方あるんだなぁ。

 休み時間、男子に声をかけて、スイカを触らせてもらうと、亀裂でも入っていたのか、ちょっと力を込めただけで、割れてしまった。ソレも粉々に。

「え・・・」

 スイカ潰しはまだ未収得なんだけど・・・。


——本当なの!信じてぇ!——

お父さんたちは赤飯の準備を速やかにやめなさい!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ