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第十三章 世界の境界線

 東京上空。


 赤黒い裂け目が再び街を覆う。

 光と闇がぶつかり合う音が、街全体に響き渡る。


 澪は両手を胸に当て、全身を光で包んだ。

 胸の奥で、全国の裂け目の感覚が一つにまとまる。


(……これが、私の力……!)


 ナギと神崎が側で構え、異界の影を迎え撃つ。


 黒幕が空中に浮かび、両手を広げる。

 装置から無数の裂け目が次々に出現する。

 世界規模の異界暴走が、今まさに始まろうとしていた。


「……面白い。境界の鍵、力を見せてくれ」

 黒幕は笑う。


 澪は叫んだ。


「絶対に止める!世界を壊させない!」


 光が全身から溢れ、街の上空に巨大な結界が形成される。

 赤黒い裂け目の光とぶつかり合い、爆発が連続する。


 ナギが斬撃で異界の影を打ち破り、神崎が剣で裂け目の力を封じる。

 だが裂け目は膨れ上がり、世界規模での危機は止まらない。


 澪は胸の奥の光を集中させ、呼吸を整える。

 光の渦が、体の周りに巨大な球体を作った。


「……これが、私の全力!」


 光の球が裂け目にぶつかる。

 衝撃波が街全体を包み込み、赤黒い霧は弾け飛ぶ。


 黒幕が叫ぶ。


「なっ……!?何だ、この力は……!」


 澪は集中をさらに深める。

 全国の異界の力が彼女の光に引き寄せられ、光の渦が増幅する。

 ついに――


 すべての裂け目が光に吸い込まれ、消滅した。


 空気は静まり返り、赤黒い裂け目は完全に閉じられた。


 黒幕は地面に倒れ、装置は破壊される。

 ナギと神崎が駆け寄る。


「……終わったか?」

 神崎が息を切らせながら言う。


「……はい……」

 澪は膝をつき、光の残響を胸に感じる。

 全身の力が抜け、世界の重みを実感する。


 ナギが肩に手を置き、微笑む。


「やったな、澪。世界を守ったぞ」


 澪は空を見上げた。

 胸の奥で、境界の光が静かに輝き続ける。


(……私、やっと……本当に守れた……)


 東京の夜は静かに広がり、街の人々は無事に夜を迎える。


 しかし、澪の胸には小さな不安が残った。


(……でも、これで本当に、終わったの……?)


 光の残響の中、澪はそっと立ち上がる。

 胸の中にあるのは、世界を守る鍵としての自覚と、次に来る未知への覚悟だった。


 ナギが軽く笑う。


「さて……これからだな。世界の境界線を守るのは」


 神崎が頷く。


「これからも戦いは続く。だが、今日の勝利は、確かに私たちのものだ」


 澪は深く息を吸い、夜空に向けて手を伸ばした。


(……私が、境界の鍵……!)


 世界の光は、静かに、しかし確実に、守られた。

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