No.05 九州遠征
「そうそう!すごいよ瞬くん!」
瞬が”パルテノン”に到着して一週間。瞬は燈にコツを教わりながら特訓に励んでいた。
「ふぅ、段々力の使い方が分かってきました!燈さんのおかげです!」
「そんなことないよ。たった一週間でここまで上手く力を使える人はそうそういないんだから!」
「ありがとうございます!そう言ってもらえると俺、もっと頑張れます。」
そう言って張り切る瞬を見ながら燈は考える。
(本当にすごい。零さんからいきなり力を使ったことは聞いていたけど、少し教えただけで簡単に力を使えちゃうなんて…。)
背中から急激に追い上げてくる瞬に少しの焦りとそれ以上の期待を感じていた。
(私ももっと強くならなくちゃ…ね!)
***
数日後、ある日の早朝に瞬は瀬鳴に呼び出される。
「よ、調子はどうだ?」
「瀬鳴さん、おはようございます。調子は絶好調です!」
「そっかそっか、よかった。」
「それで急に呼び出しって、なんかあったんですか?」
「実は燈に支部行ってもらおうと思っててさ。瞬が一緒に行くかどうか聞きたかったんだ。」
「支部?」
「そう、ウチは関東に拠点を構えているわけだけど”支配者”に覚醒する可能性のある人は全国にいる。だから北海道、東北、関西、四国、九州に支部を設置して少しでも早く覚醒者を保護できるようにしているんだ。ただ、うちも人数が少ないから各支部は信頼できる2~3人の少数精鋭部隊で運営してもらってるんだよね。」
「なるほど。」
「それで今回燈たちには一昨日覚醒して九州支部で保護した子を本部まで連れてきてもらおうと思ってるんだ。」
「九州ですか…遠いですね。」
「そう、そして外に出るってことは最悪戦闘になることもある。だから行きたくなければ残っても大丈夫だよ。」
戦闘になるかもしれないという瀬鳴の言葉に瞬は一瞬体が固まる。それでも燈のことを思い出し覚悟を決める。
「…俺は行きます。行かせてください!燈さんだけを危険な目に合わせたくないです!」
「そうか、分かった。じゃあ飛行機の手配をするよ。まぁ心強い先輩達も一緒だから。怖いときは頼りなよ。」
「先輩…達?」
瞬が疑問を返すと瀬鳴は満面の笑みを返すのだった。
***
「着いたぞ!九州!」
燈は初めての九州らしく少しテンション高く声を上げた。今回九州に派遣されたメンバーは3人。燈、瞬、そしてもう1人はツンツン頭にタンクトップのいかにもな筋肉男だった。
「燈さん!待ってください!敵は俺らがここに来るのを待ってる可能性があるんですよ!俺が先頭行きます!!」
「相変わらず声が大きいね、力也は。じゃ、先頭任せるよ。」
この筋肉男は工藤 力也。燈と年が同じで近い時期にタイタンに入っている。
力也の圧に気圧されながら瞬も燈を危険な目に合わせないように気を張っている。
(力也さんも頼もしいけど俺も気合を入れなきゃな!)
そんな風に瞬が考えていると正面から若いチャラそうな青年が三人に話しかける。
「あのー、すみません。道がわかんなくて、地図見てもらってもいいっすか?」
瞬が答える
「地図ですか?分かるかな…。」
そう言って瞬が地図を覗き込む瞬間青年の腰の辺りがキラッと光る。
「「――危ないっっ!!」」
間一髪、喉元をドスで切られそうなところを力也に救われる。
さらに瞬が後ろを振り向くと背後から燈に銃口が向けられていることに気づく。
「伏せて!!」
そう叫んでとっさに種を投げると種は瞬時に成長し燈の背後に巨大な木が立つ。その木は見事に銃弾を防いだ。間一髪危機を逃れると三人は急いで戦闘態勢に入る。
「おいおいおい、誰も死んでねぇのかよ。使えねぇ。」
瞬にとって聞き覚えのある低い声だった。
「お前は…あの時の!」
黒フードの大男が現れ、瞬が声を上げる。
「次は逃がさねぇぜ?」
沸き立つ殺気に空気が震え始めた。




