No.01 稲波瞬
―――夢を見た。誰かが戦っているみたいだ。こっちの人達はまるで魔法使いのように水や雷を操っていて、あっちの人達はビームとかロボットとかSF映画みたいな武器を使って戦っている。俺の目の前には…誰だろう?黒いフードを被った人物が自分に向かって何か話しているようだった。訳も分からず呆然としていると突然背後から胸を貫かれたような感覚に襲われる。「あれ…?俺、死―――
***
俺は稲波 瞬。黒髪の短髪で背は平均くらい。いたって普通のザ・高校生男子といった感じだ。
今日は朝から嫌な夢を見て寝坊してしまった。やけにリアルな死の感覚でいまだに鼓動がおさまらない。
「おーい!早くしないと学校間に合わないよー!」
聞きなれた高い声が耳に響く。朝ごはんを食べる時間もないが、なんとか寝癖をなおして大急ぎで家を出る。
「珍しいね、瞬が寝坊するなんてさ。」
彼女は十六夜 琴葉。近所に住んでいて同じ高校に通っているいわゆる幼馴染だ。彼女の姉からもらった花飾り付きのヘアゴムを気に入っているらしく、その綺麗な茶色の髪を束ねたポニーテールが彼女のトレードマークだ。…ただの腐れ縁で別に特別な感情を抱いているわけじゃない。
「いいだろ別に、間に合わないわけじゃないんだから。ほら、急ぐぞ!」
「え?ちょっと待ってよ!!」
そうやっていつものようにくだらないやり取りをしながら俺たちは学校に向かっていった。
***
急いだ甲斐もあって何とか登校時間内に学校へ到着する。俺たちの通っている学校は私立蒼空学園という何の変哲もない高校だ。校庭にはこの高校のシンボルである。巨大なクスノキがそびえたっている。
学校に着き、2人でクスノキを見上げながら琴葉が言う。
「相変わらずすごいよね~、この木。もう千年以上生きてるんだって。」
「ああ、そうだな。」
確かに、1000年以上という途方もない時間を生きてきたその木はとても力強く、少し触れてみると、なにか不思議な力が湧いてくる気がした。まぁ、気のせいだろうが。
琴葉がニヤニヤしながら俺に話しかけてくる。
「ねぇ!今日のテスト勝ったほうが帰りにアイス奢りね!」
「はぁ?」
「だって、木見てたら抹茶アイス食べたくなってきたし!」
「なんだよそれ…。はぁ、仕方ない・・・。」
―ドッ
突然鈍い音がした。何かが重たいものがぶつかってきたようだった。言葉が出ない、鉄の味がする。霞んでいく視界の中で腹部に刺さっている刃物が見える。琴葉が叫んでいる…ような気がする。
上手く動けない、話せない、聞こえない。何も理解できないまま意識は暗闇へ落ちていった。
―――夢を見ていた。いつもと同じように学校へ行って、あいつとくだらない話をして、当たり前の日常を過ごして。…夢じゃないはずだった。そんな世界がいつもすぐそばにあるはずだった。―――
後書き
私事ですが作者始めての小説となります。
つたない部分もあると思いますが読んでいろんな感想をいただけるととても嬉しいです。
この物語はいま始まったばかりでこれから物語の核心へと進んでいきます。
気が向いたときにお付き合いいただければ嬉しいです。
よろしくおねがいします。




