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死闘

 突然の事態だが佐一が慌てる事は無い。簡易的に素早く止血をすれば周囲を警戒した。


「くそ! 今のは一体なんだ!」

「鎌燕だ! 翼が刃物だ気を付けろ!」


 飛んできた妖は鎌燕と言うらしい。翼が逆刃の鎌のような形状で恐ろしく鋭利のようだ、かなりの速度で襲ってくるから厄介らしい。


「こいつら呪術で強化されてるぞ! 普通じゃあねえ!」

「承知!」


 次々と飛来し襲ってくるそれらを刀と体術で避けるも、幻以外の守り人達にはゆとりはない。まさに紙一重でかわすのが精いっぱいであった。


 小平太に仙吉、仁平に山人がすずを守りつつ二十体を始末するも、幻とはいえ僅か四人で出来る事は限られよう。間もなく鋭利な角が生えた白虎のような妖が三頭も現れれば、守り人達を囲った。


「おいおい……こいつは更にやばそうだ……」

「来るぞ!」


「ぐっ!」


 一瞬にして白虎の鋭利な角が真三の首を貫いたのであった。その動きは守り人達の目には追い付かず、予測さえ不可能であったのだ。


「真三っ!」


 仁平が急行し他の二頭を仕留めれば、真三を食おうとしている白虎へと渾身の蹴りを入れ、その首へと刀を刺し仕留めたのである。


「し……真三さんが……、……身動き一つできなかっただ……そんな……」


 一方で、まだ消えぬ写し身は唖然としているすずの腕を揺すり、鬼切を渡せと激しく訴えていた。


「だ? これ使うだか?」


 写し身は何度も頷き手を差し出している。すずは急ぎ紐を解くと布を取り去り、鬼切を渡した。写し身は大きく跳んで鎌燕を何羽も切り落としたのである。


「だ……!」


 写し身がそれ程早いのは、すずが幻の凄まじさを知っているからに他ならない、しかし戸からは新たなる妖が突進してきたのである。


「おすずちゃん! そこを今すぐ離れろ!」

「だぁ!」


 幾種類の妖はどれもが強敵である。幻の四人と写し身が素早く仕留めるも、すべてを相手にする訳にもいかない。徐々に幻たちの手から逃れ始めると守り人達は再び苦戦を強いられる事となった。


「くっそ! さっきまでより遥かにやばいぞ! どうなってる!」


「番人! 一刻も早く結界を!」

「やってるよ!」


 守り人達の表情にゆとりなど無い、突然間近に現れる妖の一撃を避けるだけで精一杯なのだ。間もなく東吉が一早く異変に気付くと雪の帯を思い切り引いて妖の一撃から守った。が、東吉の背には鹿に似た妖の鋭い角が深々と突き刺さったのである。


「と! 東吉っ!」

「ぐっくく! ぶっふっ!」


 激しく吐血すれば、次の瞬間には身体から力が抜け絶命した。


「雪! 止まるな!」


 瞬間だが、唖然とし動きを止めた雪に対し山人が激を飛ばせば、雪はその場を離れ妖を睨みつけていた。


「っく! 東吉ぃぃ!」


 無残にも東吉は宙に放り投げられ、鈍い音と共に落下すれば頭部を踏みつけられたのである。


「おのれぇ! 妖がぁぁあ!」


「三助! 今すぐ雪を離せ!」

「承知!」


 雪と東吉はこの騒動を収めた後、夫婦になる約束を交わしたばかりでもある。表情から見ても冷静な判断は出来る訳もない。


 小平太の指示に三助が素早く駆け付け一瞬にして気絶させれば、その場を離れ少しは安全な場所へと雪を寝かせた。


 しかし不幸はそれだけでは済まなかったのである。


「おぃい! 千次! 今行く! 持ちこたえろ!」

「くっそ! こっちは良いっ! き! 菊と佐助を頼む! あいつらは未だ! 戦えるっ!」


 千次は鎌鼬により足首を切り落とされれば、身体がぶれ隙が生まれてしまったのである。三頭の天狗に囲まれれば一気に襲われたのであった。


「くそがぁ!」


 千次が言う菊と佐助の方を見れば、二人は追い詰められ常世の入り口を背にしていた。武三が一気に走り妖へ凄まじい一太刀を浴びせれば、二人は瞬時にしてその場を離れた。


 一方で千次は、気合により天狗の二頭を吹き飛ばせば、刀を杖に立ち上がった。しかし一頭の天狗の腕が千次の胸を貫いていたのである。


 千次は大量の血を噴き出しながらも、天狗の首を一瞬で切り落としたのであった。武三の方へ顔を向ければ、口角を上げ最後までやり切った表情を見せ倒れた。


「千次ぃぃぃ!」


 武三の叫び声が響けば、同時に六郎と山路が簡易的に結界を張り直し妖の侵入を止めたところであった。残りの妖を幻と写し身が始末すれば、皆が亡骸となってしまった仲間の元へと集まったのである。


「なんだで……、なんでこんな事になっただ……、真三さんもんも……東吉さんも……千次さんも死んじまった……こんでは大厄災と変わんねえでねえか……」


「我らは常日頃より覚悟は出来ている、それにおすず、これも運命だ」

「だども……だども……こんな……、……」


 怒気も無くそう言う小平太を見上げたすずは、声を失っていた。無表情でありながらも溢れ出る凄まじい闘気は周囲の空気さえも振るわせたのである。


 すずは固唾を飲み全身に鳥肌を立てた。小平太は間違いなく怒っているのだ。


「……こ、小平太様……、……?」

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