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とりあえず、逃げ道を探そう。それが一番始めにやるべき事だ。この部屋には誰もいない。監視カメラなんて無い。執事服ワンコ様やメイド服ニャンコ様が来たら私に抵抗する術は無きにひとしい。
ちびっこ身長で出来うる限り上を見る。居た。痛た。鳥の巣もといバクの巣。
バクとの接触をはかろうとして、思い当たる。
私、ちっちゃいじゃん!声をかければ聞いてくれる?いや、私の声ってほっそいじゃん!孤児院でしゃべることなどあんまりなかったし、神父様だって耳をすまして聴いてくれたから聞き取れたぐらい私の声は小さくて細い。さっき見せてもらったバクは熟睡していた。いびきをかきながら。…私の声で起こせる?…いや、無理だろう。
しゃがみこんで、頭を抱えていじける。あぁもう!この場所から逃げる方法さえわかれば、少しは心が軽くなったのに。ポカポカと自分の頭を叩く。
スパイみたい〜なんて浮かれてしまったからこんな事になるのよ。もう!私の馬鹿!ポカポカ叩いても、小さな子供の手ではあまり痛くない。そして私は痛みを感じずらい。前世で散々殴られてきたせいか、それとも耐性でも出来たのか、前世で階段の一番上から落ちてもびくともしなかった。(手の平に小石が埋まったが。表情を変えない私に周りがドン引きしていたが。)
ハッとひらめく!長い棒みたいのでつついてみたらどうだろう?モップでもホウキでも孫の手でもなんでもいい。つついて気づいてもらえれば!
…ってそんな都合よくあるはずが無い。…私、孫の手って。あるはず無い。ここは、異世界。おでこをペシっと平手で叩き混乱している事を再認識した。
うーむ。あと、脱出の手がかりは。
あぐらをかいて、腕を組み、こめかみに指先を当てて円を描く。チーンポクポクポク。
出ました!この場所に入る時に使った本!
…いや、ここに無いじゃん。神父様の手元じゃん。小さく幼い子供がその本を見せて欲しいの〜お兄ちゃんお願い?なんて上目遣いしたところで願いを聞き入れてくれる保証はない。というかそれで聞き入れられたらロリ◯ンじゃないか?と疑う。私は、ひねくれているのだよ。ワトソン君。
こんなアホウな考えをえんえんと繰り返し、坊さんやら名探偵やらを自分に置き換えて一人遊びをしていたら扉からコンコンとノックがした。
執事服ワンコ様の声がした瞬間に、この部屋に立て籠るか?人質を取ればなんとかと物騒な考えは跡形もなく溶けていそいそと扉の前にスタンバイした。…あぁ、もう。自分の意思の弱さに乾杯。脳内にて、ワンコ様とワイングラスで乾杯。
あぁ、私の馬鹿!




