40
どうやら寝ていたらしい。…けっこうハードな夢だった。人を殺す夢とか私ってば、どこまで血塗られているのよ。…もしかしてそのせいなの?私の吸血鬼化は?…ベッドに転がりまくりながら悩む。
うん?ふっかふか。柔らかいベッドの感触と優しく包んでくれる毛布に幸せを感じる。…孤児院のベッドは固かった。毛布は薄く寒かった。
くるくると毛布にくるまって、我に帰る。
ここは。悪魔(吸血鬼)を退治するところ。
そして私は、たぶんってゆうか血を主食とする言ってしまえば、悪魔と呼ばれるにふさわしい生き物。
って事は、ここは敵地。
サーと血の気(気分的に)が引く。私、何してんのよ!とりあえず、外に出られる方法を探すつもりだったのに!…ベッドの端に座り頭を抱えていたら思い出してきた。金色執事服ワンコ様に連れられて(手を握ってもらった。ふにふにした。…幸せ)この部屋に着いた。
「おつかれでしょう。少しお休みください。」
私の身長に合わせるためにしゃがんでくれた。指先から両手を優しく包むように触れて、目をしっかりと見て微笑む金色執事服ワンコ様に私は。
「はい。」
と答える事しか出来なかった。ベッドに入ったら、布団をかけられて。
「おやすみなさい。」
頭を肉球で、肉球で、肉球で。撫でられたらもう、もう、陥落するしか無い。(私的には。)
それで、意識が落ちたのだ。あぁーもう!どうして弱いかな!ワンコニャンコ様たちに!
まぁ、理由は思い出した。前世だ。家に帰りたくなくて、兄と二人で遠回りしていたら、お家の塀からワンコの鼻がにょきっと生えていた。ふんかふんかと鼻息がしていて兄と私は、初めてのワンコ体験だから恐れて近づかなかった。でも、何回かその道を通るうちに、鼻先にタッチできるようになり、半月もすれば撫でまくっていた。金色の毛並みが、綺麗だと思っていた。…そして、そのワンコはとっても優しかった。見えないところに作られたアザが痛くて、座り込むとキューンキューンと心配してくれた。言葉がなくても、暖かい気持ちは伝わってくる。…私たちにとって、帰り道のワンコは癒しであり支えだった。
耐え難い現実からのたった一つの笑い合える場所。鼻先だけの交流。私の小さな手に触れた金色の毛並みがあの頃の幸せな記憶。
あぁ、思い出した。鼻先の交流は、私の性格を歪ませた。ワンコニャンコ様ともども大好きになってしまったのだ。…ペットショップのガラスにペッタンする肉球を見に通ってしまうぐらいには。
…前世がこんなに今世に影響するなんてきいてない。私は、抱えていた頭を膝につけるように丸くなった。私、解剖されたらどうすんの?そして、ワンコニャンコ様に抵抗できるの?…できないに一票。




