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私の他にも悪魔がいる。血を主食とする悪魔もいるのかもしれない。私と同じように。その悪魔は、どうやって食べ物を調達し、どうやって生きてきたのか。ここにはラジオもなければ、テレビも無い。遠い場所で何が起こっても、知る方法など無いのだ。
神父様は、部屋のカウンターに向かう。私はその後をちょこちょことついていく。手首に縛られた紐は、神父様にとって理想的な考えを話した後に、ほどいてもらった。抱いて行こうかと言われたが、私は辞退させてもらった。ロリコン疑惑ではないが、自分の発言に酔っている気がしたのだ。…私を助けるヒーローになったみたいに。
「カナヤ先輩と連絡をとりたいのだが、先輩はどこへ行っていますか?」
カウンターの中にいた女性は、ファイルのような紙を束ねたモノをめくる。
「カナヤさんは、サダナハ地方に行っていますね。支部に顔を出しておられれば手紙を送れますが、カナヤさんは…。」
カウンターの女性は、視線を泳がせていいどよむ。
「…そうですよね。あの先輩が支部に顔を出す訳がないですよね。」
納得した顔でうんうんうなずく神父様と女性。…カナヤ先輩という人は、自由奔放なのか?とゆうか、私は根本的な事に気がついた。私、この神父様の名前知らない。自己紹介もしてない。私の名前も教えてない。…まぁ、いいか。
「カナヤ先輩ともし連絡がとれれば、マーカーから至急相談があると伝えてください。…とれればで大丈夫ですから。」
「はい、承りました。」
「上に空いている部屋はありますか?」
「ええ、大丈夫です。106号室でよろしいでしょうか?」
笑顔を崩さずサクサク要望に応える姿は、一流ホテルの従業員さんみたいでカッコいい。口を開けてほえーとながめていると、小さい身長のためカウンターに隠れてしまっていた私と目が合った。
「あの、その子は保護対象ですか?」
にっこりと小さい子供を安心させる笑顔で微笑む。…だが、私はわかってしまう。表面だけで、値踏みしていると。利用価値あるかをみていると。人見知りのふりをして神父様の影に隠れる。
「そう、保護対象です。サイドベッドを部屋にお願いします。保護して時間が経っていないので、僕と同じ部屋で。」
女性の目から私を隠すように動く。…とりあえず私を悪魔であると公表する気はないようで、ちょっぴりホッとした。




