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大丈夫の一言で、こんなにも気持ちが軽くなるとは思わなかった。生まれた事に罪などない。
私は、生きたいと望みながら…生きていていいのかわからなかった。
人と違うモノが食べたくて。人を食べ物にしか見えなくて。おかしいと思いながら止められなくて。どうしてと思うけど、誰に聞いたらいいのかわからなかった。
「…私、いいのかな?」
ここにいて。息をして。…生きていて。目をふせて吐息混じりにつぶやく。続きを言えなかった問いは、神父様に正しく伝わったようで、神父様は、ワガママを言う子供にいい聞かせるようにはっきりと言葉をつむぐ。
「君が、生まれてきた事を僕が祝福しましょう。神は、生まれてきた者をお見捨てにはなりません。必ず、救いの手は差し伸べられます。」
この人は、神を信じているのだろう。強く偽りなく心から。神を信じ、神に愛を捧げ、辛い事があったとしても神の試練だと、信じきっていられる。
私もそう思えれば良かった。
私は、前世で知っている。生まれてもいらないと子供を殺す親がいる事を。生まれてきた子供をいじめる親がいる事を。快楽のために欲しくもない子供を産む親がいる事を。
神の助けは、平等にはこない事を知っている。
そして、祝福されない、愛されない、いらないだけの存在もいると知っている。
人は人を嫌うが、神も人を嫌うのだ。
それを、私はよく知っていた。
だって私も、親に要らないと言われ、首を絞められ殺されかけた。思い出した。私が優しい暖かい世界で生きた記憶を持っていたのは、兄がいたから。
兄が、私を救ってくれたから。
兄と私は、神様に愛されていなかったが、二人で手を取り合い生きてきた。現実の世界はでは、私たちは可哀想な子供。でも、私たちは幸せだったのだ。二人でシーツに包まり、柔らかく真綿でお互いの首を絞めながら。
私は罪を犯し、だから、神は私をこんなふうにしたのだろう。




