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正しい吸血鬼のなり方  作者: 冬月 葉
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 こうゆう事は、よくある話…ありふれた話。


 今世での生活は、孤児院の中で終わって閉まっていた。シスターという管理者と子供たちとの閉塞した生活。前世の生活は、学校の枠組みがあり、先生という管理者と学生たちとの閉塞した生活。そこには守るモノと守られるモノのきちんとした決まりがあった。でも、もう、そこからはみ出した私に、守ってくれる人など、いない。


 落とした財布を、拾って届けようとした。それは、正しい。


 子供が、金を取った。殴られても当然の事。それは、正しい。


 人によって、正義は、変わる。


 揉め事を見学する人たちは、関わりたくないと顔を背けるか、金をスった痛めつけられる子供を、見て笑いたいのか、好奇心をあらわにしている。


 子供にしてやられた屈辱に、顔を真っ赤に染め、目を吊り上げた男は、突き飛ばされ倒れた私の襟首をつかもうと、腕を伸ばす。


 私は、腹が立った。


 私は、正しい事をしたのに、なぜ、殴られなくてはならないのか。落とした財布を拾ったのが悪い?届けようとした事が悪い?


 ふざけるな。


 飲んだ血が、身体中をめぐり、怒りに引きずられるように、暴れろと身体が変化する。私には、その力がある。この男の首を、引き裂く力が。


 にぎった小さい手の平に、爪が刺さる。


 男をにらむ目に、飲んだ血が染み渡り、赤い目の色がもっと紅く深い色に変わる。それを私は、見なくても、認識している。


 口元が、上がっていくのがわかる。これは、男を蔑む顔。身の程知らずが。私に。私を。害そうとする。…愚か者。


 ホームの床についた手を、男の方に伸ばした瞬間。


 「待ってください。」


 神父様の焦った声が、私と男の間に入った。


 「この子は、スリなどしていません。私の同行者です。聖職者として断言しましょう。」


 声だけでなく今度は、男から、私をかばうかのように、私と男の間に入る。…いや、違う。


 私から、男をかばうために、間に入ったのかもしれない。

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