表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/543

10話 未知の惑星で 其の1

 2025/12/15 2241


 私が助け、私を助けた変な男について色々と考えてみた。が、答えが出る訳もなく。やはり直接聞く他にないだろうという結論に達したものの、馬鹿正直に「敵か?」と、尋ねる訳にもいかない。仮に心底から善意で私を助けたなら、この星唯一の味方を失いかねない。


 となれば、真意を悟られない様に本心を引き出すしか選択肢がない。とは言え、そんな手段も早々に思いつく訳がなかった。だから、とにかく色々と手当たり次第に興味を引きそうな話題を振ってみた。会話をしつつ、視線は男から外さず、常に監視をしていたが、幸か不幸か今のところ不審な反応は見られない。


 情報の選択を間違えたのか?もう少し欲しがりそうな情報に誘導した方が良かっただろうか。ただ、一般的な成人男子が求める情報なんて早々に持っていない。当たり障りのない旗艦の歴史、文化文明や技術には反応したが、後は何が――いや、これ以上は無駄だ。


 一先ず反応以外から手掛かりを探そう。視覚的に分かる部分から手掛かりを見つけられないかと改めて男を観察した。背丈は私よりも頭一つ分ほど高い位、体型は細くもないが太くもない。やはり服の上からでは断定出来ないが、かと言って自然な流れで相手を脱がすよう持っていくのは、私の語彙力と会話力では不可能。現状、相応に鍛えていると判断するのが無難か。


 敵は正体不明の力を使って肉体強化まで行っているようだった。とすれば私達と同じく、体格で敵味方の判断は難しいかも知れない。


 逃走の折でややボサボサになっているが、髪は短く整えられていて清潔感がある。身だしなみには気を付けているようだが、真っ当に働いているならばある程度気を付けるのは当然か――と、視線を少しずつ下げると、首から何かぶら下げている事に気付いた。装飾品の類に見えるが、一方で着飾る事を目的としていないように見える。もしそうならば人目につく様にする筈だ。何だろう、アレ?

 

 ※※※


 その後もつぶさに観察を続けたが、残念ながら成果はゼロ。外見からわかる情報は殆どなく、かと言って会話を通した中身の方も思わしくない。当たり障りのない会話では当たり障りのない情報しか手に入れられない、と言う事実がほぼ唯一の収穫だった。


 外から分かる情報と会話を通して分かる情報を組み合わせれば正体が掴めると考えたまでは良かったが、所詮は頭の中だけの話で現実は思うほどに上手くいかず。結局のところ、最大の疑問である「止むを得ない事情とはいえ、私と行動を共にする理由」に対する回答は出なかった。


 グルグルと、疑問が堂々巡りする。同郷に殺されそうになったとはいえ、思い切りが良すぎる。そんなことが露見すればこの星における立場が悪くなるだけならまだしも、最悪は殺される可能性すらある。


 果たしてこの凡庸(ぼんよう)に見える男にそんな大それた覚悟があるのか?いや、それ以前に自分自身の未来を理解しての行動か?あるいは何も感がていないのか?それとも私達の敵なのか?考えれば考える程に分からなくなる。


 巻き込まれたのは演技で、本当はスパイではないか?その危険性が頭を過るが、この過程は私達が敗走の最中に地上に取り残されると言う事態を想定していた事になる。そんな事まで想定して入念な準備を行っていたのか?


 襲撃が予測されていたのは疑いようない。初戦で私達と交戦したあの茶髪の男の口振りから先ず間違いない。だが、そうすると今度は一体どうやって私達の情報を入手したのかという別の疑問が出る。


 旗艦の位置はこの星からそれなりに離れた位置にあるから物理的な侵入は不可能。何より、今現在起きているゴタゴタを差し引いても不審な物体が近づけば気付かない訳がない。


 通信と戦闘関連の技術は抜きんでているが、確認範囲内の文明レベルは相当に低い。通信と戦闘以外の技術は平凡そのもので、|(隠しているとは言え)静止軌道上を周回している中継艦にさえ気付いていない。恐らく、宇宙開発は全く進んでいない。


 何より、もし私達でさえ気付かない高度な航宙艦を開発可能な程に宇宙開発が進んでいるなら待ち構える必要がない。後は裏切者が情報を渡している位しか思いつかないが、そんな真似をして誰が得をするのか?確かにこの星の技術力は予測よりも遥かに高いが、私達が万全ならば十分に勝機はあった。


 敗北の原因が私達スサノヲへの極端な冷遇にある事は間違いなく、真っ当な武器と相応の支援があれば苦も無く制圧出来た。この星の兵器の全容は未だに分からないが、それでも敗北する可能性は限りなく低い。


 それとも――この星に適当な技術を渡し、発展させた後に奪い取るつもりだったとか?いや、駄目か。そんな長期的な計画は神が即座に看破するだろうからやはり有り得ないし、そんな面倒な真似をする理由も分からない。それとも神の管轄範囲内で行うのにリスクがあると考えたからこんな辺境を選んだのか。


 とは言え、例え目立たないという理由であれこんな辺境、しかも中途半端に文明が発展している惑星で行う理由は存在しない。無駄に時間を使うだけだ。それとも何か別の理由、例えばこの星でしか採掘できない鉱石とかエネルギーを組み込みたかったのかもしれないが、今度はどうやってそれを知ったのかと言う疑問が出る。


 どんな可能性を考えても何処かに説明できない点が発生する。考えれば考える程に頭が混乱し、思考が纏まらない。だけどそんな中で一つだけ疑いようない事がある。目の前に居るこの男に対する不信感。それだけが私の中で際限なく膨れ上がり、残酷な選択肢を突きつける。








 この男を、殺すべきだ――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ