表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/395

第24話 二頭の囚人


孔明の出立の準備が終わり、ピットと官兵衛は席を立つ。


残務処理はすべて、馬良と姜維へ流れるように押し付けられた。


官兵衛も統治領地把握の為、この場に残り3日後に合流となった。


庵を出るときに、檻があることに気づく。


中を覗くと、左目を負傷した狼と、ずっと独り言を言っている狐が入っている。


ピットは檻の中の狼を見て驚く。


「あっ、お前はあの時の…!」


ピットの言葉に狼はちらりと見るが、誰かわからないようで、ふいっとそっぽを向き寝てしまう。


「この狼は、我らが領地をうろついていた所を捕らえました」


「狐の方は、我らが集落で訳が分からないことを喚いておりましたので、同じく捕らえております」

馬良がそう話すとピットは答える。


「…この方たちは転生者のようですね」


「なんと!他の者とは少し違うとは思っておりましたが、こうも簡単に転生者とは巡り合えるのですか?」


「いえ、そう簡単には会えないのですが…ただ、転生者の個体に近づくと、その者の体の周りが薄く光るのですよ」


馬良が話すとピットが答えてくれた。


「それで、この者たちの処置はどのように?この狼とは少なからずとも因縁があるようですが…」


孔明が話すとピットは話しにくそうに答える。


「この狼は…私の母を殺したものです」

「なんと!それは許せませんな!早速処刑しましょう!」


孔明は姜維に目を配らせると、ピットに一礼し帯剣を抜く。


「待ってください!」


「?どうして止められるのですか?この者は我が君の母上を殺したものです」

「私たち部下の心情としても、この者は処罰されるべきであります」


孔明は冷めた顔で冷酷に話す。


「ありがとう、孔明、僕の心情を読んでわざと汚れ役を引き受けようとしてくれて」


「でも、いいんだ。彼も生きるため何かを食べていかねばならない」


「弱いものが淘汰された、ただ、それだけのことなんだよ」


「そうですか…」


孔明は僅かに笑みを浮かべ、すぐ、すまし顔に戻る。


「承知しました。それでこの者の処分は?」


ピットはオオカミの檻に近づく。


「…君は恐らく転生者のようだけど、人の姿に戻ってみる?」


「人の姿に戻れば、過去の記憶も取り戻せると思うけど?」


ピットの問いかけに、狼はそっけなく答える。


「…殺せ…」


一言だけ発し、また寝てしまった。


「この者はそのまま領地まで護送しましょう」


孔明はそう話し、もう1匹の狐を見る。


「この者はどういたしましょう?」


狐はこちらを睨みつけている。


ピッドが近寄ると、狐は光に包まれ、進化を終える。


檻の中には片胡坐の男が現れ、礼も取らずにピットを睨んでいる。


「無礼者!主人に忠誠を誓って進化を受け入れたにも拘らず、なぜ礼を取らぬ!」


「フン!お前の主が勝手に私を人間に戻したのだろう?家臣でもないのに礼を取る必要がどこにある!」


なにを!と剣を抜こうとする姜維を、ピットが制する。


「勝手なことをしてすみませんでした」


「でも、私のことが嫌だったら進化を受け入れる事は出来なかったはずです」


「なにか…私に仕えたくない理由でもあるのですか?」


この言葉に、男も姿勢を正し失礼を詫びる。


「すまなかった、先ほどは言葉が過ぎた」


「狐の時の私はこのまま狂人として生きようと思っておった」


「しかし、ある男にどうしても一言言っておきたかった私は、ピット殿の進化を受け入れたのじゃ」


「もしよければ、このままわしを開放してくれぬじゃろうか?」


頭を下げる男に、ピットは承諾する。


「そうですか、何かやり遂げねばならないことがあるのですね?」


そう言うとピットは、男を檻から出した。


「ありがとうございます。この恩には必ず報いますのでまたお会いしましょう」


男はピットに礼を言って去って行った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ