表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
130/376

第129話 項羽の怒り

アンデットたちと戦う反乱兵たち。


戦うというよりも、動かなくなったアンデットにとどめを刺す作業のようなものだった。


「ク、クルシイ…」

「サヨウナラ…アナタ」

「イママデアリガトウ…」

「オトウサン…」


悲壮な言葉が飛び交う中、涙を流しながら倒していく反乱兵たち。


「すまない、すまない」

「許してくれ」

「先に待っていてくれ」


皆この言葉を唱え、ただひたすら且つての家族や友人たちを倒していく。


倒されたアンデットたちの骸は、光により灰となっていく。


その姿をフィールド外から囲み、黙って見つめる項羽一行。


勿論、城内には半蔵の部下たちを送り込み、不審なものはないかの探索を行っている。


「…おかしい。単純すぎはしませんか?」


陳平の言葉に亜父は考え、唐突に気付いた。


「しまった!反乱兵にその場から離れるように指示を!」


そしてそれは、30000以上いたアンデットのほとんどを倒し終えたときに起こった。


「メテオ・スラッシュ!」


声とともに、無数の火の玉になった石がフィールド内に降り注ぐ!


反乱兵は一瞬にして石と炎に押しつぶされていた。


「親父―!」


その声の主は『はくふ』だった。


ケガを負いつつも、仲間に何とか連れ出された彼の視線の先には、石に押し潰された父の姿があった。


次の瞬間、そのフィールドめがけて、無数の弓矢が飛んでくる。


「ぐふっ!」


不幸にもその矢が『はくふ』を貫いた。


「おのれ…魔族ども…」


そのまま『はくふ』も絶命する。


「ハハハ!ざまーみろ!」

「今まで俺たちを苦しめてきた報いだ!」

「ここがあなた達反乱軍の墓場よ!」


声の方を見ると、エスビーの配下だった3人の副官たちが宙に舞いながら笑っていた。


彼らが率いている魔族兵5000は、すでに項羽の配下とボウイにより、地上で殴殺され始めている。


「さーて、私たちは帰らせてもらうかね!」


プリンセスがそう言い残し、後ろを振り返る瞬間、彼女は首を吹き飛ばされた。


「俺をここまで怒らせて、家に帰れると思ったのか?」


そこには、空飛ぶ白馬に跨る大男が、血の付いた槍を持ち二人を睨みつけている。


「好きな方を選べ!」

「戦って死ぬか、逃げ出して死ぬか!」


二人は一瞬で構えて魔法を放とうとするが、既に一人は首を落とされていた。


(なんて間合いと速度!こんな奴相手に出来るか!)


生き残ったプリンスは、一気に下へと下降する。


高速で急降下したプリンスは、地面すれすれで体を起こそうとしようとしたが、落下が止まらない!


なぜだ?不意に背中を見ると、あるはずの翼が根元から切り取られていた。


そのまま地面に叩きつけられ、転がっていくプリンス。


顔は潰れ、首を含めて上半身の骨はバラバラになり、腰から下は無くなっていた。

運悪く即死できなかった彼は、仰向けのまま虫の息の状態で、目の前に現れた項羽に対峙する。


「どうだ?一瞬逃げられると思って、逃げられなかった気分は?」


言葉を発することができないプリンスは、ただ項羽を睨みつけた。


「そうだ、言い忘れたことがあった」

「お前たち、『精神体』ってやつになって、死んだ後も他の体に乗り移れるらしいが、これからそれは出来ないぞ?」

「俺たちに敗れると、お前らの精神体は神によって潰されるそうだ」


その言葉を聞き、プリンスは目を見開いて絶命した。


「いい冥途の土産になったな」


項羽はそう言い残し、味方と合流した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ