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第128話 涙の長沙攻略

同時刻、項羽一行は、長沙城が見えるところまで迫っていた。


遠目に見える城は、静寂に包まれ、ひっそりとしている。


暫くすると、城内に忍び込んでいた伊賀衆が飛んで戻ってきた。


「大変でございます!司令官と思われる者が、城壁で詠唱らしきものを発し、魔法陣を使って城内の住民全てを死に至らしめた模様です!」


「何だと!」


驚いたのは、この戦いで協力者となった虎の獣人『ぶんだい』と『はくふ』である。


彼らは故郷である長沙を開放する為、反乱軍となり、この度5000の兵を連れて項羽たちに協力していたのだ。


「あの城には俺たちや他の反乱兵の家族が住んでいるのです!」

「それを皆殺しにするとは…信じられん!」


怒りと憔悴を露にする反乱兵たちに、更なる悪夢の報告が入る。


それと同時に正門が開き、おびただしい人影がこちらに向かって進んでくる。


「報告します!死んだ領民たちが『アンデット化』し、こちらに向かってきます!」


半蔵の部下の報告に反乱軍は誰も声を上げることができず、その場にへたり込んだ。


とても戦闘ができる状態ではない反乱兵に、項羽は話す。


「『ぶんだい』『はくふ』よ、お前たちはここで待機しておけ」

「おれ達がお前たち家族を苦しみから解放する」


項羽の言葉に、その場の反乱兵全てが泣き崩れた。


『ぶんだい』はその言葉に礼を述べる。


「項羽殿、我らの心情を御察し頂きありがとうございます」


そう話すと、『ぶんだい』は振り返り反乱兵に告げる


「皆の者、私が立ち上がろうといった為に、愛する家族をこのような目に合わせてしまい、本当に済まなく思っている」

「ただ、今一度私たちの家族、友人、知人を安らかな眠りにつかせる為、私はお前たちの所縁のあるものを倒しに行く」

「私を恨むなら恨んでくれて構わない」

「せめて…お前たちを巻き込んでしまった私の責任なので…」


『ぶんだい』は涙を流しながら兵に告げると、同じく涙を流す『はくふ』と共に、アンデット討伐の協力を一緒に願い出た。


「我々二人ですが、討伐に参加いたします!」


「二人?お前たちの部下はそんなつもりはないようだぞ」


拱手をする二人の後ろを項羽は指さした。


後ろでは全ての反乱兵たちが拱手をして『ぶんだい』に訴えた。


「頭領!我らの為に苦しまないでください!」

「あなたがいたから、我々は魔族に対抗することができました!」

「俺たちは、あなたと共に行動して、一度も後悔したことはありません!」

「俺たちの大切な家族や友人たちです。せめて俺たちの手で神の下に帰してやります」


「おまえたち…」


反乱兵を見た『ぶんだい』は、再び項羽へ願い出る。


「どうかこのアンデットたちの討伐は、我らだけにお任せください」


その言葉を聞き、項羽は了承する。


「では、アンデットたちが何もできなくなりますよう、私が力をお貸しします」


そう言って卑弥呼はアンデットの周辺に魔法を展開する。


「ホーリーフィールド!」


その瞬間、地面が光だしアンデットの動きが止まった。


「卑弥呼殿、かたじけない」


そう言って『ぶんだい』は部下を鼓舞する。


「俺たちの家族や友人たちを安らかに眠らせるぞ!」


「おー!」


『ぶんだい』たちは、反乱兵を率いてアンデットの中へ進んでいった。


この時、項羽たちは『真の敵の策』にまだ気づいていなかった。


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