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第113話 龍馬が来る

ピットたちが亜人連合に来て三か月が経った。


彼らは今、『出島』と言う外部の者が一時的に住める区画で過ごしている。


亜人共和国では、外部の者が入国する際、『朝廷』の許可が必要となる。


入国の手続きを『幕府』が行い、認められたものを『朝廷』が決裁する形だ。


この期間が通常三か月以上掛かる為、その間の仮移住地域が出島となる。


許可が下りるまでの期間は、この出島から許可なく出ることができない。


許可がないと出られないのだが、隠れて10000(国の通貨単位は円)賄賂を渡すと門番が許可をくれる。


お金の方は、シフが友人と共同経営している商会の必要経費として捻出している。


ピットたちは護衛付きの住居に住んで、必要なときは賄賂で出られるところと割り切って行動することにしている。


ちなみに半蔵は、どこからでも出入り自由なので、あちこちに行って情報収集を行ってくれていた。


また、エルフ女王の紹介で護衛についてくれた『女剣士ルクシル』も、エルフ王国との国交があり出入り自由の為、情報収集を手伝ってくれている。


「ピット王報告です!現在帝より古都の警護を任命されておりました長州が、幕府・薩摩・会津の策略により古都を追放されてしまいました!」


半蔵のこの報告はピットたちを驚かせることになる。


実は三か月前、この出島にてシフの紹介を受けた人物と会っていた。


その男はリザードマンで、土佐藩出身の下級武士との事。


早速その男と話した5人は、彼の先進的で型にとらわれない発想に驚く。


「つまり貴方は『勤王の志士』であるにも関わらず、『幕府』も残した体制を創るべきだと申されるのですか?」


孔明の問いにリザードマンは答える。


「今この国は勤王と佐幕の考え方に分かれちゅう」

「ほんで殆どの奴らが、どちらかの考えじゃないといかんと言うちょる!」

「じゃけんど今はそんなこと言うちょる時じゃないぜよ!」

「こんな事しとる間にも、夷狄(ここでは秦・宋・日ノ本)共はこの国の奴らの共倒れを狙っちょる!」

「そんなことさせん為にも、この国一丸となって夷狄と戦わねばいかんがじゃ!」


興奮して話すリザードマンの唾を、官兵衛は冷静に拭きながら話す。


「非常に面白い考えですね。私も彼の考え方に賛成です」

「どうでしょう孔明殿、我々も彼の考える『公議政体論(佐幕と勤王にいる有能な人物で政治を行う)』を支持してみては?」


官兵衛の言葉に孔明も頷く。


「彼の考え方が一番我々の理想に近いやり方と言えますね」


すると、ここまで空気だったピットがリザードマンに告白する。


「リョウ殿でしたっけ?あなたは前世がある転生者のようですよ」


「転生者?」


ここで孔明がリョウに詳細を話す。


「げにまっことか?」


その言葉と同時にリザードマンは光出し、教科書に載っている写真の人物になった。


「おー本当に人間の姿になった!」

「ピットさんありがとう!俺は土佐の白札郷士・坂本龍馬じゃ!」

「今は友達のハンペンが創った『土佐勤王党』の幹部をやっているんだ」

「今度ハンペンも紹介するから是非会ってみてくれ!」


進化と共に標準語になったため、流れるように言葉が入ってくるようになった。


「しかし龍馬さんはすごい人ですね」

「土佐勤王党の幹部でありながら佐幕の考え方も理解している」

「うちの国であれば、直ぐにでも幹部になれるほどの逸材なのに…この国はもったいないことをしていますね」


ピットの言葉に龍馬は驚く。


「あんたどっかの国の王様だったのか?これは失礼しました!」


慌てて頭を下げる龍馬に一同は大笑いをする。


「いや、龍馬さん。あなたは不思議な人です」

「今日初めて会ったのに、あなたを長年の友人みたいに感じます」

「私は森の中に住んでおります、ラビット王国の王ラビット・ピットと申します」


「今話しているのが、丞相の諸葛亮孔明と、大尉の黒田官兵衛です」


三人がお辞儀をすると慌ててお辞儀を返す龍馬。


「いや~知らなかったとはいえ、これは失礼仕りました」

「しかしなぜこの国へ?」


龍馬の疑問に孔明はこの世界の概要を話す。


「ハ~俺はこんな小っさいことで奔走しとるのにピット殿はそんな大きなことを考えとったか!」

「よし、俺もこの国の為にもピット殿達に協力するので、今後とも宜しく頼みます」


これより龍馬は、ピットたちの世界造りに大きく関わっていく事になる。


「今度長州藩にいる友達の『シンサク』も連れてくるから話に混ぜてやってくれ!」


そう言って龍馬は出島を後にした。


ふと、官兵衛は思い出す。


「ハンペン…そういえば親友の竹中半兵衛はこの世界に転生しておるのだろうか?」


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