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入学初日の出来事

 今日から聖女学校に入学。

 聖女の制服に着替える。真っ白なワンピースの上から白いフード付きのローブを羽織る。


 期待と不安でいっぱいになりながら、寮の部屋を出る。

 一般寮を出て、しばらく行くと上級寮がある。3級以上の聖女の住む寮だ。そして、その先にある校舎は、前の世界の大学のキャンパスのように、講堂といくつかの建物で分かれている。運動場まである。至れり尽くせり。


 こんなに異世界人に税金を使って、国民の不満はないのだろうかと余計な心配をする。


 学生課で手続きを済ませ、1年生の教室へ向かった。支給された教本は読み込んだけど、分からないことだらけ。同期で最初に聖女になったイザベラを基準に、授業が進められているので、7か月ほど遅れている計算になる。

 イザベラが、あまり賢くなければいいな。


 1年の教室に入ると10数人の同期生がこっちを見た。同期は全部で25人。入学はもちろん私が最後。不安そうに見回したけど、皆、目をそらす。劣等生の厄介者認定されてる?

 へこみそう。

 席は自由のようなので、教壇の目の間の、やる気アピール席に座った。


 近づいてくる派手な髪色の集団。

 イザベラだ。

 同期のイザベラは上昇志向の強い肉食女子。

 なぜか、私を目の敵にしている。聖力がイザベラより高いと知られたせいかな。いちいち絡んでくる。


 イザベラは座る私を見下ろして、開いた左手を見せつけてきた。

 5本の指に指輪が3つ。

 どの指輪にも、ごてごてした装飾が施されている。特に、そのうちの一本はメロン味の飴玉みたいな大きな緑色の宝石がついている。……重そう。


「わたくし、準貴族の精霊と契約しましたのよ」


 偉そうに言った後、私の左手をつかんで指輪を見る。

 私の左手の薬指には、シンプルな細い銀色の指輪がある。


「まあ!」


 イザベラは大げさに驚いて、大声をあげた。


「支給品の指輪ですわ! なんてお気の毒なの!」


「支給品の指輪しかもらえないなんて、相手はきっと下級精霊よ」


「初めての契約精霊でしょ。薬指にはめる指輪は、奮発するものだわ」


「指輪一つ用意できないなんて、相当貧しい精霊ね。私だったらお断りよ」


「劣等生だもの。かわいそうに。相手を選べなかったのね」


 イザベラの大声に反応して、ざわざわと教室中から悪口が聞こえる。


 イザベラは満足そうに笑って、私の手を取った。


「かわいそうなカナデさん。わたくしが助けてあげなきゃね。先輩としてなんでも教えてあげるわ。遠慮せずに聞いてね」


 結構です。心の中で断って、握られた手を抜こうとがんばる。

 イザベラは馬鹿力でぎゅうっと手を握りしめて、大げさに悲しい顔を作った。


「ああ、でも、ごめんなさい。わたくし上級寮に入ることになったから、あなたの寮でのお世話はできないわ」


 教室中に聞こえる大声で言った。


「それって、もしかして」


 イザベラの隣りにいたクラスメイトの発言に、


「ええ、そうなの。わたくし3級になる手続き中よ」


 イザベラは満面の笑みで答えた。

 わっと歓声で湧く教室。


 入学1日目でピラミッドの頂点と最底辺が決定したのだった。

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