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角の先には…

作者: 高見南 純平

「なろう小説を夜遅くまで読んでたら寝坊しちゃったよ」


 高校生の少年は住宅街をひた走っていた。

 寝坊してしまったので髪がくしゃくしゃだった。


「あと五分か、いや絶対に間に合う!」


 スマホで時間を確認すると、諦めることなく全速力で走っていく。


 しかし、そんな少年にちょっとした事故が起きてしまった。


「遅刻遅刻~、ってわぁぁぁぁ」


「ちょ、あぶなっ」


 住宅街の曲がり角から、突然人が飛び出してきたのだ。

 死角から現れたため、二人はそのまま勢いよくぶつかって尻餅をついてしまった


「いてて。ごめんなさ~い」


「いや、そっちこそ大丈夫……」


 少年は腰を抑えながら、ぶつかってきた相手を見ると言葉が詰まってしまった。


 その相手は食パンを加えた女子高生だったのだ。


 アニメや漫画でよく見る光景。

 こんなベタな展開が自分に起きるとは思いもしなかったようだ。


「うん。私は大丈夫だよ。って、あ!

 このままじゃ遅刻しちゃう!!

 ダッシュダッシュ!」


 彼女はすぐさま立ち上がり、学校に向かって猛スピードで走っていく。


「あれ、俺の学校の制服だよな。

 もしかして転校生!?」


 同じ高校の制服だが見慣れない顔だった。


 少年は新たな出会いの可能性に胸を高鳴らせていた。


 そんな彼に再びベタな展開が怒ろうとしていた。


「ぶつかるぶつかるぅ!」


「こ、今度はなんだよ!」


 立ち止まっていた少年の元に、自転車をすっ飛ばしている女子高生が近づいてきた。

 彼女はブレーキをかけるも、少年に激突してしまった。


「いたたた、やっちゃったな~」


「ぅう、自転車はきついよ」


 さっきの何倍もの痛みが少年を襲う。


 ぶつかってきた少女は自転車から吹っ飛ばされ、先ほどの女子生徒同様、地べたに座り込んでいた。


「ごめんね! でも私急ぐから行くね!」


 彼女も痛みを堪えながらすぐに自転車へ乗って学校へ向かっていく。


「なんなんだよ。また同じ制服だし」


 さっきはラブコメ的な状況に興奮していたが、二回続くとなんだか嫌な予感がしてきた。

 そして、それは的中してしまう。


「どいてどいて~」


「遅刻だ~」


「先生に怒られちゃうよ~」


 曲がり角の先から、また遅刻しそうな女性生徒が二人、三人……。

 いや、何十人も少年目掛けて走ってきたのだ。


「え、うそ、むりむりむりぃぃぃぃぃぃぃ」


 遅刻少女の軍隊は、少年を引き去っていくのだった。

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