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僕は踏まれたい~踏まれるほどに強くなる~  作者: 怪ジーン
一章 踏まれたい養成所時代
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07 スキルの発動条件と効果③

 焚き火の明かりに照らされて仲良く寄り添い眠るエルとフローラの姿は、無防備で寝返りをうつと、チラリと覗く白い肌をしたお腹や太ももが露になる。


 一人、見張りを兼ねて地べたに座り見ていたタイヤーは、眠る二人にゆっくり近づき、側で無防備な寝顔を見つめる。

 スヤスヤと寝息を立てて両手を重ねて枕代わりにして眠るフローラの可愛らしい寝顔、少し開いた桜色の唇から吐息を漏らすエルの(あで)やかな寝顔にタイヤーは唾をゴクリと飲み込む。


 手を伸ばしたタイヤーは、捲れた毛布をかけ直し二人から離れて見張りに戻った。


 タイヤーに寝込みを襲う勇気などあるはずもなく、むしろ二人に嫌われたくないとの思いで一杯であった。

 嫌われたら、スキルも発動出来る人が減ってしまうと、なんとも打算的な考えで。


 だが、これがタイヤーの良くも悪くも良いところで、二人にとってタイヤーは安心できる男性の一人でもあった。


 昔から、特にフローラは、よく下心満々の視線を受けることが多く、男性イコール嫌悪の存在であった。

 もちろん、タイヤーも時折はそうであったが、決して自分が嫌なことを積極的にしてこない分マシであると考えていた。


 そんな事など露知らずのタイヤーは、焚き火の前で自分のヘタレさに大きく溜め息を一度吐くと、このままではいかんと、頬を自分で叩いて見張りに専念する。


 星は出ているが、荒野の先の先まで暗闇は広がる。だが、今のタイヤーには、スキルが発動している為に夜目が利き、昼間のようによく見えていた。


 夜目だけではなく、視野は180度まで広がり、誰よりも遠くまで見渡せる。遥か先の岩影に素早く隠れた小動物の動きもタイヤーにはゆっくりに見えていた。


 それがタイヤーのスキルの効果の一つ、最初の青白い光状態であった。


 バッファーとしての最初(・・)の強化は、目に関する複合強化である。


 スキル“夜目”、スキル“遠視”、スキル“動体視力強化”と元々一般的にあるスキル三つが複合されて目を強化するというもの。

 発動時間は、自分が発動を解くまでではあるが、一度解くと同じ時間だけ体が動かせなくなるほど疲弊する欠点はあった。



「しかし、あのスキル(・・・)だけは、手に入れられなかったんだよなぁ……」



 こんな独り言を呟けるのも二人が眠っているのを先ほど確認したからで、タイヤーが手に入れたかった目に関するスキルに“透過”というものがあった。


 その名の通り、物が透けて見えるというもの。



「まぁでも、“透過”があったら二人ともこうして来てくれなかっただろうし、よしとするさ」



 当初、タイヤーのスキルを毛嫌いしていたフローラは、特にである。

もし、“透過”があれば、益々もって近づきすらしないであろう。

 エル一人だけでは、一段階目てある“目の強化”しか出来ない。

 二段階目である黄色の光に包まれるにはフローラは必須であった。


 同じ人物に続けて踏まれても次の段階に進まないのは、養成所時代にわかっていたことで、必ず発動出来るフローラの存在は大きかった。



「ん!?」



 拡大された視界の端から消えるように何かが動くのが見え、タイヤーは素早く首を向けた。小動物のようであったが、似た姿の魔物も存在する。

 万一に備え自分の荷物を探り、一本の細身の剣を取り出すと手元の地面に置く。かなり立派な装飾が彫られた鞘と、タイヤーが持つにしては、似つかわしくない剣。

 元々エルの愛剣であったが、自分はもう使わないからと頂いたものであった。


 タイヤーが唯一戦う方法。それは、この剣で二段階目の黄色の光に包まれた状態で戦うのが今現在出来る最高戦力であった。


 最初の青白い光の状態で目を強化して相手の動きを見切り、二段階目の黄色の光の状態で相手の攻撃を避けることが出来る身体能力を発揮する。

 あとは、魔物の心臓とも言える“生核(しょうかく)”を剣で破壊するのみ。


 ただ、ごく稀に体の中に“生核”が埋め込まれている場合があり、スキル“透過”が欲しい理由の一つでもあった。



「ああ、そうか。透過の事を内緒にしておけばいいんだ! やっぱり欲しいなぁ……」



 目は見張りに向けているもののタイヤーの頭の中は、スキル“透過”を手に入れていれば……と想像を膨らませる事で一杯で、でれんと鼻の下が伸びていくのであった。

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