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僕は踏まれたい~踏まれるほどに強くなる~  作者: 怪ジーン
四章 ユーラシア教国へ
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12 聖具を取り戻せ!

 フマレ隊にハナを加え、タイヤー達は宿の各部屋へ移る。ミュオは、タイヤーより先に部屋に入ると、ベッドの上にダイブした。


 空いたベッドに寝転んだタイヤーは、聖具を回収する手段を模索する。


(侵入出来ればいいのだけれど……話し合いは……あの司教の調子からすると、無理そうだな)


 天井を見上げていたタイヤーは、腹の上にズシリと何か重みを感じた。



「ミュオ?」

「バレたのじゃ」



 ニヘラと笑うミュオを見てタイヤーは侵入方法を思い付く。



「ミュオ。そのローブって、僕たちにも使えるのかな?」

「誰でも使えるのじゃ。別に使いたいなら構わぬ、何時でもいいのじゃ」



 まだ、クリアしていない問題はあるものの、ひとまず明日、提案しようと安心したのか、着替えることなく、そのまま眠りについてしまった。



◇◇◇



 翌日、タイヤーは鼻の穴に何かを突っ込まれ痛みで目を覚ます。



「ふ、ふがっ! な、何!?」



 目覚めると体が凄く重い、そう感じたタイヤーは、自分の腹部辺りに目をやると、鼻先にチクリとミュオの角が突き刺さる。



「痛いと思ったら、(これ)か」



 どうやらミュオも自分の体の上で眠ったらしく、鼻の穴にミュオの角が突っ込んだみたいであった。



「起きろよ、ミュオ。重いから退いてくれ」



 タイヤーはまだ若い。朝の生理現象が起これば言い訳出来ない状況であったが、それは避けられたみたいだと、ホッと胸を撫でおろす。


 ミュオは、タイヤーの下腹部に座りながら二度三度目を擦ると、四つん這いのままベッドの上を移動する。

だらしなくワンピースの裾が捲れ上がったまま、ミュオの可愛い桃尻が露になっていた。



「ちょ! ミュオ、パンツは!?」



 タイヤーは大慌てで体を起こし、部屋の隅々を見渡す。



「なんで、あんなところに!」



 部屋の片隅に脱ぎっ放しのパンツが丸まっていた。すぐに回収したタイヤーは、ミュオを立たせ自分の肩にミュオの手を乗せるようにして、パンツを履かせる。



「タイヤー、起きてる!? おはよう!」



 ガラリと勢いよく開いた扉の先にはエルが笑顔を向けていた。タイヤーがミュオにパンツを履かせる光景を見て固まったまま。



「こんのぉ、パンツ脱がせて何してるのおおおおっ!!」

「激しく誤解──ぶべらっ!」



 エルの拳がタイヤーの顔面を突き抜ける勢いで鼻先を捕らえると、その驚きの貫通力は、見事タイヤーをその場でバク宙如く、宙で一回転して床にキスをした。



◇◇◇



「もう、誤解なら、そう言いなさいよ。勘違いしたじゃない」

「話す間も無かったけどね」



 改めてフローラやハナが遅れてやって来ると、タイヤーの部屋へと集まる。



「それで、何か手は浮かんだの?」

「うん。ミュオのローブを使おうかなって」

「それって隠れて盗むってことじゃないの?」

「まぁ、それは最後の最後なんだけど、回収したあと、あの司教と話し合えないかなって。聖具を取引に」



 タイヤーはチラリとハナの方を見た。ハナの眉をハの字にした表情が困難であると言っていた。


 それでもタイヤーは、この手段に賭ける。話さえ聞いて貰えれば納得してもらえるはずだと信じて止まなかった。



「それで、誰が侵入するの?」



 タイヤーは自ら志願するが、試しにミュオのローブを着たところ、タイヤーのスキル発動時に発する体を包む光までは消せない事が判明する。



「あたしかフローラしかないわね。いいわ、あたしがやる」



 万一を考えハナには姿を消せないミュオとフローラと一緒にこの宿へ残ってもらい、タイヤーとエルの二人で決行する事に決めた。



◇◇◇



 この日の夜、エルとタイヤーは二人でひゃっはー教の教会へと向かう。万一に備え、タイヤーは二段階目を発動させた状態でいた。


 ただ、夜にタイヤーの体を包む黄色い光は目立つため、かなり離れた場所から教会を伺う。



「それじゃ行ってくるわね」



 フードを被り姿を消したエルに向かってタイヤーは頷く。今のタイヤーにはエルの姿がハッキリと見えていた。


 ハナが教会からくすねた例の鼻のモチーフがついた眼鏡を掛けており、更には一段階目である目の複合強化により“遠視”も兼ねており、エルの動きと周囲の動きの変化を見過ごさないようにしていた。


 教会だからだろうか、入り口の扉に鍵はかかってないようで、エルは少し開いた隙間から体を捩じ込む。



「特におかしい所はないな」



 異変があればタイヤーは合図を送る手筈になっており、教会の正面の窓から“遠視”“夜目”そして鼻眼鏡の力で、エルの姿を見逃さない。


 ハナから得た情報では一階の聖堂奥にある人の背丈以上ある重い像を動かせば地下への階段があるという。



「頼むから、そっと静かにな。エル」



 エルがハルの情報通りにあった女性像の前に到着する。そして、エルは慎重に慎重を重ねて、像を片手でそっと持ち上げると、横に退かした。



「……今回、エルが最適だったんじゃないか」



 地下へ降りて行ったのかエルの姿が見えなくなり、今度は周囲を重点的に見張る。


 何事も無いように願いつつ十分ほど経過した時、突然大きな爆発音が聞こえ、教会全体と地面が揺れた。



「な、何が一体!?」



 タイヤーは教会に向かって駆け出すと、教会の内部から火の手が上がるのを見たのであった。

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