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僕は踏まれたい~踏まれるほどに強くなる~  作者: 怪ジーン
四章 ユーラシア教国へ
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08 スキルカード

 タイヤーは、エル、そしてフローラのスキルカードも確認をしてみる。自分だけ何か丸裸にされたようで、ちょっとした仕返しの意味も含んでいた。


 スキル名は“八面(やおもて)”。ただ、タイヤーと同じくスキル名の欄が、もう一つあり、やはり???となっていた。



「一人、一つなはずなのに大盤振る舞いというか、どうしてなんだ?」



 しかし、その答えは誰も持ち合わせておらず、再び疑問に戻る。エルのスキルは継承系なので効果はわかっているが念のため確認をする。


一ノ面→一身の矢

二ノ面→凍結

三ノ面→烈風

四ノ面→迅雷

五ノ面→烈火

六ノ面→変身

七ノ面→震動音波

八ノ面→巨大化


 八つの効果のうち、エルが好きなのは“一ノ面”。その名の通り、自らを一本の矢と化して一点突破する。

タイヤー達も養成所時代に、幾つかを見てきているが、見覚えのないものが二つ。


 “六ノ面”と“八ノ面”だ。


 エル曰く、あまり出ないし使いたくないそうで、六ノ面は、そのもので体を変身させるのだが、タイヤーやフローラが何度聞いても何に変身するのかは教えてくれなかった。

八ノ面は、エル自身がではなく、武器、つまりエルなら大剣が巨大化するらしい。


 一方、フローラのスキルは一つ“絶息(ぜっそく)の極み”。発動条件と効果も同じで「息を止めている間、攻撃する力と耐久力が増していく」という自己強化。



「何か私だけ普通な気がする」



 フローラは、エルやタイヤーに対して不満を漏らすのであった。



◇◇◇



 タイヤー達は、アーマイルの街へ入る前に途中一泊野宿をする。常時タイヤーのスキルを発動させたままにしておく訳にはいかず、タイヤーが動けなくなるクールタイムをやり過ごす必要があった。


 あと少しで、アーマイルの街が見えてくる街道の脇の木の下で、全く動けないタイヤーは捨て置きエルとフローラは火を焚き、食事の支度を始める。


 料理などしたことがないミュオは興味津々で二人の動きを追う。動けないタイヤーの隣にはす巻きにされたモブカ。



「おーーい! 助けてくれーーっ!!」



 タイヤーの助けを呼ぶ声にエルとフローラが振り向くと、思わず顔をひきつらせる。

唇を必死に尖らせ、タイヤーにキスしようと顔を寄せるモブカに、避けたくても動けないタイヤーの姿。


 フローラが呆れた目をしながら近づくと、タイヤーの体の位置を少しだけモブカから遠ざけた。



「ふ、フローラさん?」

「タイヤーくん、大丈夫、大丈夫。また近づいたら遠ざけるから」



 そう言うとフローラは再び料理の準備へと戻って行ってしまった。



「おーーい」



 タイヤーの声が虚しく夜空に響くのであった。



◇◇◇



「許しておくんなまし」



 翌朝、モブカは、今度はエルの手によりリュックへ頭から逆さまに梱包されていた。

リュックから見えているのは修道女のようなスカートは大いにはだけ、純白の下着と伸びる脚が二本だけ。


 さすがに、これは目立って仕方がないと、街に入る前に元へと戻したのだが、リュックから頭を出したモブカの顔は恍惚の表情を浮かべていた。



「知ってるのじゃ、こういうのを変態って言うんじゃろ!」



 ミュオの指摘を受けたモブカは、何故か頬を染めるのであった。


 アーマイルの街の入り口は、門戸が開かれており、壁などはない。見渡しもよく高い建物などは、見渡せば数えられる程度であった。

一軒家が点在している幾つもの村が、広大な土地に一ヶ所に集まったような街で、その牧歌的な雰囲気が却って宗教都市の装いにタイヤー達は感じた。



「早速で悪いけど、ひゃっはー教の拠点を教えてくれないか?」



 モブカは首を背け態度だけでも拒否を示す。しらみ潰しに探しても良いが、一軒、一軒離れているので、広大故に一苦労なのは目に見えた。

 そこで、エルはモブカに取り引きを持ちかける。



「教えてくれたら、タイヤーがキスしてくれるかもよ?」

「西です。このまま真っ直ぐ行った所に、一際高い建物が見えます。その隣です」

「おおおお? おーい、エルさんや。勝手に僕を売らないで」



 あっさり教えるモブカに、タイヤーが止める間もなく取り引きが成立する。


 エルに詰め寄ると



「何処とは言ってないもの。ほっぺくらいいいじゃない」

「それって……口ではない、そうとも言ってないよね」



 ぶつくさ文句を言いながら言われた方角へ進むと確かに高い建物が見つかる。それは、とても古いが味わいよく、荘厳な教会で、昔からあるアーマイル教のモノだと疑いの余地はなかった。


 街に外壁がないので、全体が把握出来ていないが、この建物を中心に街が造られているのではと感じた。


 その隣には、慎ましくチョコンと建つ教会が。入り口上には、木製の“ひゃっはー教”と書かれた看板があった。

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