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02 生核は何処に!?

「ハヤトさん!」

「ハヤト!」

「あたしが行くわ!!」



 “青雲の牙”のチームは、飛んできた石の弾丸に晒され深手を負い倒れてしまう。傷は決して浅くなく、転がるランプの灯りが地面に伝わる液体を映し出す。


 更なる追撃が来れば、無防備に受け致命傷と成りかねないだろうと、真っ先に動いたエルは“青雲の牙”の前に立ち、大剣を盾にした。



「しかし、キリが無いわね!」



 ミーアは魔法を使い続け疲労の色が出てくる。いずれはタイヤーやフローラの方にも疲労が出てくるのも時間の問題で、何か手はないか皆が模索する中、ギルが声を上げた。



生核(しょうかく)だ! それさえ壊せれば!!」

「何処にあるのですか!? あれは僕達は初めて見る魔物なので!」

「甲羅のてっぺんだ! あれだけの大きさなら動きは鈍いはず!! 回り込めば!」

「ギルっ!!」



 ギルは二本の剣を持ち、ほんの僅か石の嵐が止んだ隙を見計らいミーアの背後から飛び出す。

 タイヤーは、その夜目でタイラントタートルの視線がギルに向いていることに気づくと、少し遅れてタイヤーも動いた。



「逃げて! ギルさん!!」



 通常のタイラントタートルよりも巨体。それだけで大きな武器なのである。タイヤーがギルに向かって叫ぶと同時に、タイラントタートルは、ギルを洞窟の壁と挟み込むように体を傾け始めた。



「ギルうぅ!!」



 轟音がして土煙が舞う。ギルの姿は見えなくなり、ミーアは悲痛な叫びを上げた。



「タイヤーくん!?」

「危ねーっ!! 間一髪だった!」



 土煙から姿を現したのは、ギルの襟元を掴んで戻ってきたタイヤーであった。タイヤーは、そのまま強引に引きずりミーアの元へとギルを連れていく。



「ありがとう、タイヤーくん。ほら、ギルも!」

「あ、ああ。ありがとよ」

「いえ。それより、ギルさんのお陰で好機です。エル! ミーアさんと交代してくれ!!」



 石の弾丸が止んだことで、ミーアと立ち上がったギルを連れてタイヤーはエルとフローラと合流する。



「ミーアさんは、そのまま“青雲の牙”の人達を! エル、僕を上空まで上げられるか?」

「そう言うことね。任せて!」



 回り込めないなら正面から直接甲羅の上に乗ろうと言うのだ。そして今はタイラントタートルの態勢が傾いており、石の弾丸も止んでいる絶好の機会。


 両手を組みレシーブの体勢になったエルの手にタイヤーは片足をかけた。



「思いっきり行くわよーっ!!」

「ま、待って! エルが思いっきりやったら……うわあああああっ!!」



 制止する間もなく両足で地面を踏ん張り、全力でエルはタイヤーを舞い上げた。


 弾丸のように一直線に洞窟の天井へと飛んで行くタイヤー。顔面を天井に打ち付けたあとタイヤーは、パチンコの玉のように跳ね返り偶然にもタイラントタートルの甲羅の上に落ちた。



「よし! 成功!!」

「ナイス! エルちゃん!!」



 パンッと互いに手を叩き合うエルとフローラ。ハラハラするのはタイヤーの身体能力が上がっていることを知らないミーアとギルのみ。

甲羅の上からエルとフローラに文句を叫ぶタイヤーを見て、二人はホッと胸を撫で下ろした。



「タイヤー! それで、生核(しょうかく)はぁ?」

「それが、見当たらないんだあ!」



 ゴツゴツした甲羅の岩山の間を縫って探しても見つけられないタイヤーは、次の手を考えあぐねていた。



「くそっ、逃げようにも“青雲”の人達を放っておくわけにはいかないし……どうする? どうするべきだ? ……うわっ!」



 タイヤーが立つ甲羅が大きく揺れる。どうも自分の甲羅にタイヤーが乗っている事が不快なのか、振り落とそうとタイラントタートルは、地団駄を踏む。


 タイラントタートルの地団駄は洞窟内を大きく揺らし、エル達も地震のような揺れに戸惑う。



「あ……おい、ミーア。あれ!」



 ギルが指差したのは、四股を踏むように足を上げタイヤーを振り落とそうとするタイラントタートルの腹。そこには正六角形の石のような物が埋め込まれていた。



「生核!? あんなところに!?」



 下手にタイミングを失すると逆に踏み潰されそうで、エルとフローラも躊躇する。

 タイヤーに知らせたところで、甲羅から降りてしまうとタイラントタートルの反撃を受けそうで、呼び戻す訳にはいかない。



「こっちでなんとかするしかないわね。亀……そう、亀か……! フローラ、ギルさん!! 二人であの亀の気を逸らして!」

「何する気なの? エルちゃん!?」



 エルはすぐにタイラントタートルへ向かって走り出す。走りながら振り返ったエルは「ひっくり返すのよ!」と満面の笑みを浮かべた。

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