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デビルソング  作者: らっきー
18/25

ブラッディマリー

「アソコはやめとけ。関わらないほうが身のためだぞ。」


高田が赤髪に警告する。

グレーのスーツで眼鏡の男、高田は野心家で元同僚の赤髪の美味しい話と交換条件でイバラ葬儀店の情報を持ってきた嫌な奴だった。


チビと交代交代で張り込みを続けていた赤髪だったが二週間以上も全く変わった動きのない対象者に業を煮やし、あまり気が進まない方法を取らざる負えなかった。


元同僚で出世欲の強い 嫌味ったらしい男、高田と物々交換するのが最善の方法と思い、いつか使おうと思ってたいた、赤髪の元上司、高田の現上司の裏情報を使う事にする。




「ブラッディマリー知ってるか。」


思わぬ言葉が高田の口から出てきて赤髪は驚く。


ここで言うブラッディマリーとはキルトーキョーで上級者たちが使っている麻薬の事だ。


この麻薬はかなり高価なのだが、使う本人の血液を生成して作る麻薬で、副作用がほぼ無く、絶頂を味わえる特殊な薬物だった。



手間をかけ、本人の血液から作られるためにかなり高価で副作用が極端に少ないため、罪悪感が少なく、依存症に気づかれにくい。


しかし、これは表向きで強烈な依存効果があり、限度を超える摂取をすると急死する危険な麻薬だった。


「あの葬儀屋は九龍グループか?」



ブラッディマリーはキルトーキョーでもかなり幅を効かせている。多国籍犯罪組織 九龍グループが仕切っていた。


高田の話を聞いた赤髪は言葉を失う。


高田が言うには、


ジョンドゥと言う男の情報はないが、蟲と呼ばれる男の情報は断片的だからそれなりにあると言う。


ブラッディマリーが出回った初期の頃、この複雑な麻薬のためか合成が上手くいかず、不純なブラッディマリーが出回る事も多かった。


しかし、突然、ブラッディマリーの精度が良くなる。そして、このブツはそれを仕切る九龍グループの麻薬ではなく、別の人間が流通されているブツだった。


当然、高精度のブラッディマリーは馬鹿売れする。

それを見過ごせなかったのが、九龍グループであった。


九龍グループはその巨大な情報網を使い、すぐに新型のブラッディマリーを売っている男にたどりつく。


中肉中背でそれほど背も高くない。妙に色白で鋭い眼をしている。スキンヘッドで黒スーツに黒い山高帽を常に被る男。 

名前は偽名だろ 蟲 と呼ばれていた。


グループはすぐに、5.6人のチンビラに金属バットを持たせ、蟲の所に向かわせる。


9つの龍の紋章の下に黒骨組と書かれた看板のある雑居ビルから金属バットを持ったチンピラたちは出って行った。


この一帯のカジノを取り仕切る、九龍グループ傘下の黒骨組の組長、黒骨の指示は手足を砕いて生きて連れて来いだった。


おそらく新型のブラッディマリーの情報を得るのが目的だったのだろう。


一時間後、黒骨組の事務所のドアが開いた。


そこには一人の男が立っていた。


ちょうど降り出した雨のせいか真っ黒なレインコートは濡れ、黒光りし、真っ黒な和傘を右手に。




「凄い現場だったらしいぞ。」


高田は自分にはそれほど関係ないと言う素振りで話を続ける。


この話は事件にはなっておらず、高田の九龍グループ内の情報屋の話で、


九龍グループの会長 九龍 は黒骨組事務所にいた、銃で武装した黒骨組長を含め十五人を日本刀だけで全員抹殺し、組を潰した この謎のグループに興味をもち、接触し、蟲と呼ばれる男を仲介人に協定を結ぶことになる。


蟲の提案は新型ブラッディマリーをグループのシマで売る代わりにそれなりの額の上納金を上げることで、双方に損のない形となった。


巨大な組織と個人業の取引としては異例だったがグループの会長が仲介した蟲を気に入ったことが大きく働く結果になったという噂だった。





「ブラッディマリーか。」


高田は赤髪から上司の裏情報を受け取り、浮足立って喫茶店を出ていった。


イバラ葬儀店の羽振りの良さの理由がこれで分かった。


しかし、九龍グループとは厄介なものが顔だしてきてしまった。


赤髪はここからの一番の最善策を考えこみ、喫茶店のテーブルにうなだれる。



ここで諦めるのが一番の最善策なのかもしれない。







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