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異世界転移 〜神様からの招待状〜  作者: 菜月 水仙
序章 従者達の鎮魂歌
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第3話「竜人の里にて」

第3話「竜人の里にて」


アサヒと呼ばれていた竜人とあの化け物が接触した位置から移動して15分の場所にそれはあった。それの入り口には日本の神社にある鳥居のように2本の木が刺さりそれを縄で固定する。


その高さは優に10メートルを超え、こちらに圧迫感さえ与えてくる。その間にある何十段もあり頂上が見えない階段。周囲は2本の木よりも高い木々が聳え、すでに拠点と考えていた川のせせらぎも聞こえない。


「…たった15分移動しただけなのにこんな場所に着くなんて…目印らしい目印なんてなかったし普通着かないだろ」


「俯瞰の目がある我ら竜人のみできる行為ですので。だからこそ昔から『原始の草原』を守護していました」


…よーし知らん単語が出てきたし質問するか。

というか質問しなきゃ話ついていけないし認識が違うだけで実際は知っていることもあるかもしれない。愚者は知らないことを知らないままにしたり知らないことを1から知ろうとするが、賢人は知らないことを知ってる物事と絡ませて理解するものだ。…ちょっと待てそのどちらでもない俺は平凡ってことか!?いや単語を精査することは正しいはず…


「えっと、1人でぼーっと何か考えたり急に頭を抱え込んだり大変そうですが。何か質問でもありますか?」


「…なんか超絶恥ずかしいところ見られてたわけだけど、置いといて『魔素の不干渉』と『失われた純族』そして何よりここ『竜人の里』と『原始の草原』っていうのは?」


まぁ…言い訳やらなんやらでもみくしゃになってた心情が悟られなくてよかった。そんな事よりも鳥居みたいなところで門番さんが2人居座ってたけど…俺を見るときのあの目は完全に羨まs…


げふんげふん、完全に敵対視してたよな。なのにこのミツキっていう女性が話したらめっちゃ笑顔とかあいつら絶対この子のこと狙i…


げふんげふん、この子のこと信頼してるんだな。



そんな長文を脳内で連ねれている間、ミツキは唸っていた。どこから話せばいいのかわからず話の順序を考えているのだろう。その際に首を右に左にと動かしそれにつられて長い翠色の髪も右に左にと動く。


そう言えば皮膚で脳内のデータ処理機能が故障していたが今見返すと彼女が着る防具は軽装。だから皮膚を見れてパニックになりかけたのだが…


「あの…そんなマジマジと私の方を見ないでくれますか?怖いです…」


おっと、話す順番を決めたのかこちらを見ている彼女が割とガチの方の軽蔑を視線でこちらに教えてくる。そんな態度を見てもみくしゃになっていた心情を見破られた方がまだ数倍いいと考えた俺だった。


「…いや皮膚が俺とは違うなと思ってね。ところで質問の内容を答えてくれるか?」


「あ、それなら里長が今あなたの後ろにいるから聞いてあげてくださいよ。その人すごいめんどくさいタイプなので」


ちょっと待て、最後の言葉俺に向けてではなくて里長とやらを刺激するためにわざと言ったろ!実は策士か?



そんなこんなで保護という名目上、客人のような立場で『竜人の里』に辿り着いた。まぁ何がびっくりしたかって鳥居みたいなものがあったり門番のやる気スイッチが里の女性だったりクソ長い階段を上がって少し広い広場で質問大会しようとしたら霧散苦しいおっさn


「ようこそ、我が祖先よ!我が里で手厚くもてなしましょうぞ!!」


…確かにこのタイプはめんどくさい系だな。



ーーー



広場から少し歩くとさらに長い階段があり、その階段は度々踊り場のように間隔が開けている。そしてそこに道がありその先には建物が一塊となって集まっている。数は4つ。


その中の1つに近づいたときに里長とされる人物が声を荒げ気分が高騰しているようだ。


「我が祖先よ!!こちらが商業地区でして!」


ほんとに暑っ苦しい人だな…てか里に商業も工業も林業もあるのか?いや林業ぐらいならありそうだな。


「この商業地区では主に2者間での物々交換を第3者が監視することで里内での物量消費を管理することを行なっています」


「いやちょっと待て、それって行政じゃないか?何も商業と言う部類で管理される物事じゃないよな?」


「いえ、これが正しいのです。なんせ行政、もとい評議院では法規の決定や財政なども全て行なっています。確か曽祖父が口癖のように『行政と内政と財政が一片になっている…もっとしっかり分離しとけばこんなことにならなかったのに』と言っていました」


「なんか俺に関係なさそうだしそれが里が機能するならそれでいいんじゃね?」


そんな適当な回答をすると里長は暗い顔をする。さっきまでの明るい雰囲気は息を潜めそこには里を深く考える者に一瞬見えた。むさ苦しいおっさんなのに。


「機能していると言えばそうなのですが…その評議院に悪い噂があったり商業地区での不正、工房地区での武器の流用はわかってる。だが物的証拠まで残すことはしない…そこまで能無しじゃないみたいなんですよ」


「ということは商業地区での第3者が介入しているのはあんt」


「我はドラゴ・アラヴィル!アラヴィルと呼んでください我が祖先よ!!」


「…お、おう。んで介入しているのはアラヴィルの信が置ける人物ということか?」


「えぇ、我が愛よ愛よと育てた軍部ですので」


「愛ある指導のせいで不服を買っているという可能性は?」


「あるとしても軍部なら対処可能です、我1人で全員を相手取ることもできます」


「え?それって愛でてるの??」


「愛があっても力がない奴らなんですよ」


なんかよくわからないけどマッスルポーズ取り始めた暑苦しいおっさん、改めてアラヴィルは自分の力を誇示するかのようにこちらを見つめる。やめろ、俺にそんな趣味はない。


「んで?工房の方の武器は??」


「あぁ、そのことでしたらアサヒってわかりますか?」


「ミツキとアサヒの凸凹コンビですか?」


「そう言ってあげないでください、祖先を発見した際に尻尾を振って報告しに来た可愛い奴らなんですよ」


「何それ可愛い、俺の前でもそれでいいのに」


「緊張してるんでしょうね、ほらさっきまで後ろに付いてたミツキがどっか行きました」


「…そんな緊張しないでよ、俺の方が緊張してんだから」


「え?それはないです」


…おい真顔をやめろ真顔を。


「…だから!!工房の話を続けて?!!」


そう言うと真顔をやめて、顔を緩めて俺の方を叩き始める。お前それ親近感によって行ったとか言ったらマジはっ倒すぞ?見ろよ地面を、体がめり込んでるんだぞ?


「ハッハハハ、忘れておりましたわ。アサヒを知っているのであれば話が早い。アサヒが工房の職人を全員締めました。流用した奴らも制作した奴らも全員フルボッコにして今現在『Luna』という木に磔の刑状態です」


ちらっと指差した方には何故か道なりに血が地面に付いていて…


「怖すぎだろ」


「本気のアサヒなら龍種の撃退も出来ますよ」


「あの化け物を!?…可愛らしさどこにフェイドアウトしたんだよ…」


商業地区を抜け、工房地区に寄り軽く眺める。地球で見てきた武器はやはり無かった。剣やら斧やらは人間に合わせた武器だ、そりゃ竜人の力だったら理想の形も変わってくる。


そんな感想を頭に考えながら横でめっちゃ笑顔で武器の説明をしてくるアラヴィルに苦い顔で答える。


「ごめん、何言ってるかさっぱりわからない」


…いや泣かないでよ、わざとじゃないんだから…え?ならなんですぐ言わないんだ?そりゃ、ねぇ、あんな楽しそうなのに止めるなんて野暮でしょう??


他にも林業地区、行政地区とされる評議院を見て里長の家に招待された。

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